1990 Fiscal Year Annual Research Report
汚濁湖沼水の生物膜処理におけるカビ臭生成微生物のエコテクノロジ-を活用した制御
Project/Area Number |
01550432
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
須藤 隆一 東北大学, 工学部, 教授 (70109916)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲森 悠平 国立環境研究所, 総合研究官 (10142093)
|
Keywords | 汚濁湖沼水 / 微小動物 / 2ーメチルイソボルネオ-ル(2ーMIB) / 脱臭 / Trithigmostoma cucullulus / 摂食速度 / カビ臭生成糸状微生物 / Phormidium tenue |
Research Abstract |
汚濁湖沼水のエコテクノロジ-を活用した方法として、生物膜法の一種である接触酸化法を用いて生物処理する方法が注目されている。本法は反応槽内に充填されたハニコム状、ひも状、板状の接触材上に形成された生物膜により浄化することを特徴としている。生物膜には細菌、菌類、原生動物、袋形動物などが生息しており、これらの混合微生物群が有機物の分解・除去に貢献している。とくに懸濁状の藻類の除去・分解には捕食者としての微小動物の役割が大きいものと考えられる。そこで、汚濁湖沼水中に出現する藍藻類、糸状性のカビ臭生成原因生物であるPhormidium tenue等の藻類を有用微小動物として、これらの糸状藻類を摂食するのに適したやな器という細胞小器官を有するTrithigmostoma cucullulusおよび細菌に着目して、効率的分解・除去を目指した検討を行った。その結果、カビ臭生成糸状藻類のP.tenueはT.cucullulusにより摂食速度10〜30μm・s^<ー1>程度、最大比増殖速度1.61d^<ー1>、また最大個体数1200N・m^<ー1>で捕食、分解され好的食物源となること、T.cucullulusの存在はTON、2ーMIB、クロロフィルa量、濁度、TOC、DOCなどの除去効率を高める上で大きな効果を有すること、2ーMIBの分解は、T.cucullulusの食胞内で観察されるpH4以下で非常に高く、また、高温であるほど、酸との接触時間が長いほど分解能が高まることなどが明かとなった。これらより、糸状藻類を摂食する微小動物等を汚濁湖沼水の生物処理法の接触酸化反応槽内に大量に定着させることができれば、カビ臭物質の分解をエコテクノロジ-的に達成できることを明らかにできた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 須藤 隆一、稲森 悠平、杉浦 則夫: "水環境におけるカビ臭の生成" 臭気の研究. 20. 40-50 (1989)
-
[Publications] 古賀 みな子、溝口 健、森 忠洋、稲森 悠平、須藤 隆一: "繊毛虫類Trochilioides rectaによる糸状細菌の捕食" 水質汚濁研究. 12. 33-39 (1989)
-
[Publications] Y.Inamori,Y.Kuniyasu,R.Sudo and M.Koga: "Role of ciliated protozoa in control of the growth of filamentous microorganisms" Proceedings,5th International symposium on microbial ecology. 5. 422-426 (1989)
-
[Publications] R.Sudo,Y.Inamori,Y.Kuniyasu and T.Ouchiyama: "Predation and deodorization mustyーodorーproducing filamentous Algae by the protozoa Trithigmostoma cucullulus" Water Science and Technology. 21. 1743-1746 (1989)
-
[Publications] 稲森 悠平,大内山 高広,杉浦 則夫,須藤 隆一,青山 莞爾: "カビ臭生成Phormidium tenueの細菌および微小動物による分解・除去" 水質汚濁研究. 13. 592-598 (1990)
-
[Publications] 須藤 隆一編: "環境微生物実験法" 講談社,