1990 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙ステ-ションにおける閉鎖系ガス循環システムの開発
Project/Area Number |
01550750
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
城塚 正 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00063157)
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Keywords | 宇宙ステ-ション / 閉鎖系 / ガス循環 / 有害ガス / Pd触媒 / パルス法 / 完全酸化 |
Research Abstract |
無重力下,閉鎖系という特殊な環境下にある宇宙ステ-ション内の長期滞在を前提として,生命維持に密接な関わりを有するガス再生システムの開発を行った.本年度は,ガス循環システムにおける要素技術の選定法および有害ガス除去サブシステムにおける系統的な有害ガス処理法に対して検討を加えた. ガス循環システムにおける要素技術の選定に関しては,システムを構成する(1)CO_2の除去・濃縮,(2)CO_2還元,(3)O_2再生および(4)有害ガスの酸化処理を中心としたキャビン内の環境制御の4工程について,閉鎖系での物質収支の面から検討を行った.その結果,(1)ー(3)の工程には複数の要素技術が存在するが,(2)の工程における水素消費量,蓄積炭素の処理法が(1)および(3)の要素技術を選定する際の指針となることを明らかにした.また,(4)の工程では有害ガスの完全酸化を行うことにより生成物であるCO_2,H_2Oを(1)ー(3)の工程における循環システムに組み込むことが有効であることを示した. 有害ガス除去サブシステムに関しては,37種類の有機化合物を対象としてPd触媒による酸化試験を行った.触媒活性は多種の原料ガスの転化率を迅速に測定可能なパルス法を用いた.その結果,原料ガスは転化率と反応温度の関係に基づくと(1)反応温度の増加に伴い転化率が徐々に増すもの[S型],(2)470K付近の比較的低温域での反応温度の増加に対し転化率が徐々に増すもの[L型],(3)530ー570Kで転化率が激しく増加するもの[H型]の三つのグル-プに分類されることを明らかにした.また,酸化経路に基づき化合物を整理し,不飽和度が高く極性の大きい官能基を持つアルコ-ルの完全酸化条件の確立が重要であること,673K以上の反応温度ではすべての原料ガスは完全酸化し,生成物はCO_2とH_2Oであることを確認した.
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