1989 Fiscal Year Annual Research Report
作物における硝酸態窒素の吸収・同化の機構とその制御に関する研究
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01560022
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Research Institution | 富山県立大谷短期大学 |
Principal Investigator |
葭田 隆治 富山県立技術短期大学, 農学科, 助手 (40089016)
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Keywords | 硝酸・亜硝酸イオン / HPLCーUV検出器法 / 野菜類の硝酸含量 / 植物生長調節物質 / カイネチン / 野菜の硝酸含量軽減 / ^<15>N標識窒素 / ビタミンC・糖化合物 |
Research Abstract |
1.高速液体クロマトグラフ法による硝酸・亜硝酸イオンの迅速定量法を確立した。本法は、HPLCーUV検出器との組み合せで、亜硝酸イオンピ-クは4.19分、硝酸イオンピ-クは6.73分に溶出し、すぐれた分離能を示した。従来法フェノ-ル硝酸比色法と本法との間には、正の高い相関関係(r=0.9357)が認められた。また、作物体試料の調整では、乾燥微粉末から水抽出し、乾燥試料20mg当量をHPLCに注入することで分析が可能となった。 2.さらに、本法を用いて、葉菜類6種、根菜類5種ならびに果菜類2種の計13種類に含まれる硝酸態窒素を測定した。その結果、とくに高硝酸含有野菜は、ホウレンソウ、シロナ、ニンジンなどであり、全窒素に占める硝酸態窒素も14〜32%の高い値を示した。この事実は、吸収された窒素が同化されることなく茎葉に蓄積していることであり、生長効率ならびに食品としての安全性を著しく悪くすると理解されよう。野菜の硝酸態窒素の許容限界値は、家畜飼料や飲料水の様に定っていないが、近い将来その許容限界値を示す必要性を、得られた結果から強調した。 3.ホウレンソウにおける硝酸態窒素の蓄積部位は、葉身より葉柄が主となり、含有も約2倍高くなる。これらの含有は、植物生長調節物質のカイネチンを茎葉ならびに土壌潅注処理で著しく軽減できた。この軽減効果は、土壌潅注処理で高く、対照区に比べて21〜41%も低下させた。また、^<15>N標識窒素の吸収量は、土壌潅注区は茎葉処理区より高くなり、その増加程度は土壌潅注で約30%となった。これらの結果は、ホウレンソウにおける硝酸態窒素の吸収・同化は、カイネチン処理により著しく促進できることが明らかになった。その反面、生育量の増加にともない、ビタミンCやグルコ-ス、フラクト-ス、シュクロ-スなどの糖化合物含量が僅かながら低くなることが明らかになった(示差屈折計検出器)。
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[Publications] 葭田隆治: "有機農産物と窒素化合物" 北陸作物学会報. 25. 100-104 (1990)
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[Publications] 葭田隆治・丸山ゆかり: "作物におけるトウモロコシ未熟種子水抽出物の生長促進効果" 日本作物学会紀事. 58(別2). 207-208 (1989)
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[Publications] 葭田隆治・高田朋子・川村征夫・亀山訓和: "有機質肥料の開発とそのホウレンソウの収量と品質に及ぼす影響" 園芸学会北陸支部シンポジウム講演・研究発表要旨. 平成元年度. 54 (1989)
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[Publications] Ryuji YOSHIDA: "Effects of Cytdsinins on growth and quality of spinach" 園芸学会雑誌.
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[Publications] (社)日本土壌肥料学会監修: "植物栄養実験法、第IX章生理活性物資分析法" (株)博友社, (1990)