1990 Fiscal Year Annual Research Report
レオロジ-と界面化学からの接着のメカニズム解明に関する研究
Project/Area Number |
01560179
|
Research Institution | Faculty of Agriculture, The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秦野 恭典 東京大学, 農学部, 助手 (70172921)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶山 幹夫 東京大学, 農学部, 助手 (40191978)
水町 浩 東京大学, 農学部, 教授 (40022165)
|
Keywords | 接着 / 粘着 / レオロジ- / 界面化学 / タック / 転がり摩擦係数 / はく離強さ / 粘着剤 |
Research Abstract |
アクリル系粘着剤、天然ゴム/ロジン系粘着剤と種々の表面特性(臨界表面張力γ_cを有する被着体を用いて、これらのタック(シリンダ-けん引法による転がり摩擦係数f)と180゚はく離強さ(P)を広い速度範囲で測定することおよび粘着剤の粘弾性の測定などにより、被着体の表面特性、粘着剤のレオロジ-特性と接着との関係について調べ、接着剤のメカニズムについて検討した。その結果の一部を以下に示す。 転がり摩擦係数の速度依存性に関して、(1)アクリル系の場合には二つのピ-クが、天然ゴム系の場合には一つのピ-クが観察された。(2)低速側から最初のピ-クまでは粘着剤の凝集破壊が起こり、それより高速側では界面破壊が起こる。(3)高速側のピ-クの大きさとその速度位置は被着体のγ_cと正の相関がある。 はく離強さの速度依存性は、転がり摩擦係数の場合とほぼ同様の傾向を示すが、(1)本研究の試験速度範囲内では高速側にピ-クは現われず、速度の上昇に伴って高くなる。(2)界面破壊が起こる領域の任意の速度におけるはく離強さはγ_cと正の相関がある。 これらのことから、表面特性は接触過程と破壊過程の両方の大きく関与しており、界面破壊が起こる領域では粘着剤(接着剤)と被着体のγ_cにより粘着特性(接着強さ)をコントロ-ルすることが可能である。勿論粘着剤(接着剤)の凝集破壊が起こる領域では粘着特性はその凝集力により制御される。また、ある温度、速度条件で破壊する場合の破壊形態(粘着剤の凝集破壊あるいは界面破壊)には界面特性と粘着剤(接着剤)のレオロジ-の両方の因子が関与しているが、かなりの部分レオロジカルな特性(平均緩和時間)によりコントロ-ルできることが解った。 実際の使用条件に適した粘着剤、接着剤を開発するためにはそれらの表面特性とレオロジカルな特性を制御すれば良いことになる。
|