1991 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷曝露に対するアミノ酸の代謝反応における大脳辺緑一視床下部系の役割
Project/Area Number |
01570086
|
Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
瀬戸 勝男 高知医科大学, 医学部, 教授 (70045970)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 隆幸 高知医科大学, 医学部, 助手 (90205930)
椛 秀人 高知医科大学, 医学部, 助教授 (50136371)
|
Keywords | 寒冷曝露 / 大脳辺縁系 / 視床下部 / アミノ酸代謝 / ウサギ / 肝臓 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の課題のアミノ酸についは糖原性のアミノ酸のうちグルタミン酸およびアラニンを取りあげて、ウサギを用いて種々検索を行い、次のような結果を得た。 1)ウサギに1日12時間の寒冷曝露を反復した場合1日の寒冷曝露は肝でのグルタミン酸よりのCO_2、ブドウ糖、ケトン体、コレステロ-ルエステル、遊離脂肪酸およびリン脂質の生成を促進する一方、トリグリセリドおよび遊離コレステロ-ル生成を抑制するが、寒冷曝露の反復回数の増加に伴って、その曝露効果が次第に減少し、第7日に至るとグルタミン酸の代謝に対する寒冷曝露の作用がすべて消失する。 2)寒冷曝露の7日間に渡る反復によって寒冷曝露に対するグルタミン酸の代謝反応が全く消失しているウサギにおいても、暑熱曝露あるいは緊縛負荷に対するグルタミン酸の代謝反応は寒冷曝露を全く行っていないウサギの場合と全く同様に存在している。 3)1)および2)の結果は寒冷曝露に対するグルタミン酸の代謝反応が曝露を反復することによって、消失するという現象は反復寒冷曝露によって一般的にストレスに対する代謝反応が消失したのではなくて、寒冷曝露に対してのみ特異的に出現している現象であることを示しており、反復寒冷曝露に対するグルタミン酸の代謝適応が成立したことを意味していると考えられる。 4)視床下部腹内側核の破壊は肝でのグルタミン酸よりのCO_2、遊離脂肪酸およびリン脂質の生成を抑制する一方、ブドウ糖、ケトン体、コレステロ-ルエステル、トリグリセリドおよび遊離コレステロ-ルの生成を促進する。 5)視床下部腹内側核の破壊はグルタミン酸よりのCO_2およびコレステロ-ルエステルの生成に対する第1日の寒冷曝露に体する作用方向を逆転させるとともに、トリグリセリドおよび遊離脂肪酸に対する第1日の寒冷曝露の作用方向を消失させるが、反復寒冷曝露に対するグルタミン酸の代謝適応の成立過程には無影響である。 6)背側海馬より視床下部の神経経路とされている背側脳弓あるいは扁桃核と視床下部との神経連絡路とされている分界条の破壊は肝のグルタミン酸の代謝像、第1日の寒冷曝露に対するグルタミン酸の代謝および反復寒冷曝露に対するグルタミン酸の代謝適応の成立過程のすべてについて著しい影響を与える。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 枝重 則治,大利 文乃,川上 照彦,北岡 和雄,平川 憲生,斉藤 英郎,細木 秀美,瀬戸 勝男,山本 博司,Roborts,S.: "ウサギの肝におけるグルタミン酸代謝に対する大脳辺縁ー視床下部系刺激の影響" 医学と生物学. 122. 63-65 (1991)
-
[Publications] 毛利 元彦,他: "正常ヒツジの肝におけるロイシン代謝に対する反復寒冷曝露の影響" 医学と生物学. 122. 123-125 (1991)
-
[Publications] 北岡 和雄,他: "視床下部弓状核破壊ウサギの肝におけるグルタミン酸代謝に対する反復寒冷曝露の影響" 医学と生物学. 122. 179-181 (1991)
-
[Publications] 藤原 裕子,他: "視床下部腹内側核破壊ウサギの肝におけるグルタミン酸代謝に対する反復寒冷曝露の影響" 医学と生物学. 123. 75-77 (1991)
-
[Publications] 川上 倫,他: "ウサギにおける反復寒冷曝露に対するグルタミン酸の代謝適応の成立" 医学と生物学. 123. 89-91 (1991)
-
[Publications] 田中 淳一,他: "分界条破壊ウサギの肝におけるグルタミン酸代謝に対する反復寒冷曝露の響影" 医学と生物学. 124. 1-3 (1992)