1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570295
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
土井 陸雄 横浜市立大学, 医学部, 教授 (70091585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池見 好昭 横浜市立大学, 医学部, 助手 (80106301)
安倍 和則 横浜市立大学, 医学部, 講師 (70046134)
大森 薫 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (10045982)
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Keywords | 労働衛生 / 臨床検査 / 判定基準 / 個体差 |
Research Abstract |
労働衛生の領域では、作業者に対する一般健康診断・特殊健康診断での検査結果の判定に多数の健常者を対象として測定されたいわゆる「集団正常値」が用いられている。ところが、集団正常値の範囲から偏った測定値を示す作業者が多いことが知られ、個人別正常値を判定に用いる必要性が論議されてきた。しかし、これを労働衛生などの現場で利用するには、検査回数や検査間隔をどうするかなど、解明されるべき問題が少なくない。また、個人別正常値を定着させるには、個人差の成因についての基礎的研究も必要である。そこで本研究では、個人別正常値を確立し、これを労働衛生や地域医療の場に応用するための応用研究と、個人別正常値の成因に関する基礎研究を並行して実施することにした。 初年度研究の成果としては、ボランティアを用いた継続検査の結果、血球検査値、血清生化学的検査値および血清金属(亜鉛、銅)検査値の個体差について、検査間隔のとり方、年齢差、臨床検査値に与える日常生活上の問題点などについて基礎的な情報を得ることができた。検査間隔については、週2回の検査と月1回の検査で血球値を比較するとかなりの差が生じ、あまり頻回の採血には問題があることが判った。これは、検査間隔によって日常生活上の変動要因の介入に差があるためと考えられた。年齢差が明らかに認められたのは血清亜鉛・銅であり、いずれも年齢と共に明瞭な上昇傾向を示したが、その原因は未解明である。GOT、GPT、γ-GTPなどの血清生化学検査では、被検者の自覚症状に何等の異常がなくても検査値にかなりの変化が認められ、それらは日常的に常用している薬剤(とくに抗生剤)や食習慣に影響される部分が多いことが判った。これらの成果は、個人別正常値を確立し、それを応用してゆくに当たって基礎的な情報であり、今後とも継続検査によってこれらの基礎情報を集積するとともに、個人差の成因の研究を進めて行きたい。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 戸沢隆,安倍和則,大森薫,池見好昭,土井陸雄,塚田裕: "臨床検査値の個人別正常値について" 日本衛生学雑誌. 44. 273 (1989)