1989 Fiscal Year Annual Research Report
医療従事者の単純ヘルペスウイルス感染リスクに関する血清疫学的研究
Project/Area Number |
01570321
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
鳥羽 和憲 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (50012753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 誠一 横浜市立大学, 医学部, 助手 (90106302)
曽田 研二 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80154706)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / 中和抗体 / 抗体保有率 / 医療従事者 / 感染リスク |
Research Abstract |
当大学関連施設から採取した2つの病院勤務者の血清サンプル約540検体について単純ヘルペスウイルス(HSV)に対する中和抗体を測定した。定量法は我々が開発した簡便で高感度のマイクロ中和法で、ウイルスとしてはHSV-1型HF株を、細胞としてはウサギ腎由来株化細胞RK-13を用い、96ウェルマイクロプレ-ト内で反応の培養を行った。得られた結果を被験者の年齢、職種、所属科、勤務形態などについて行った調査内容と併せて解析し、以下の結果を得た。 1.医療従事者全体の年齢層別HSV抗体保有率(20歳代〜50歳代)を我々がかつて行った一般人のそれと比較すると20〜50歳代のどの年齢層においても有意の差は見られなかった。 2.医療従事者を職種別に分類して比較すると、医師群は20〜30歳代において一般人よりも有意に低い抗体保有率を示し、看護婦群は20歳代において逆に一般人よりも高い傾向を示した。 3.看護婦群の20歳代の抗体保有率の高い傾向は2つの病院でともに認められた。 4.看護婦群のうち勤務形態についてのデ-タが得られたものについて外来、病棟勤務者の保有率を比較したところ、前者における保有率は20〜30歳代において後者のそれよりも高い傾向がみられたが、有意の差ではなかった。 これらの結果は医療従事者のうちでも若年の看護婦群におけるHSV感染のリスクが高いことを示唆していると思われる。また、イムノグロブリンクラス別の抗体定量についてはIgGについては基礎的な定量の条件を決めて終了し、現在IgM、IgAに関する定量法を確立するための実験を行っている。
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