1991 Fiscal Year Annual Research Report
生化学的指標を用いた大気汚染および喫煙の生体影響に関する疫学的研究
Project/Area Number |
01570325
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Research Institution | School of Medicine, Tokai University |
Principal Investigator |
春日 斉 東海大学, 医学部・公衆衛生学教室, 教授 (60096211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 秀明 東海大学, 医学部. 公衆衛生学教室, 助教授 (90096264)
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Keywords | デスモジン / ELISA法 / 疫学調査 / 喫煙影響 / 早朝尿 |
Research Abstract |
1.目的 大気汚染、受動喫煙の生体影響については、多くの研究が報告されている。我々は生化学的指標としてElastinの最終産物である尿中Desmosineに着目し、その測定法の確立および疫学的研究の応用について検討してきた。 2.方法 (1)Desmosine抗体の測定法:ELISAによる測定法は尿1.0mlを110℃で24時間水解後減圧濃縮、0.1Mリン酸緩衝液に溶解、PH調整後、凍結乾燥を行った。さらに0.05%Tween20/PBS0.5mlに再溶解後、96穴ポリスチレンマイクロプレ-トに移し、測定を行った。(2)Desmosine排泄量を疫学調査に応用する場合、多数の健常人から24時間蓄尿を採取することは困難であるため、ランダム尿中のDesmosine;Creatinine比(DES比)が24時間尿中Desmosine排泄量を代表しえるか否かについて、検討した。(3)DES比の疫学調査への応用の可能性を検討するため、神奈川県下の小学校学童およびその父親を対象として、質問票調査と尿中DES比の測定を行なった。 3.結果および考察 DES比については変動幅が小さく、ランダム尿中DES比と24時間尿中DES比の相関係数は早朝尿ではr=0.78を示し、早朝尿中DES比は24時間尿中DES比を代表し得るものと考えられた。神奈川県下小学校学童の父親198例について、尿中DES比を測定、質問票によって得られた喫煙習慣により、非喫煙者群、1日1〜10本喫煙者群、11〜20本群、21本以上群に分類して比較すると、1日の喫煙量が増加するにつれて、尿中DES比は増加した。しかし尿中DES比の変動係数は各群において75〜90%を示し、各々の群間で有意差は認められなかった。また尿中DES比と1日喫煙本数の相関係数は0.111と低かった。一方、学童における受動喫煙影響について、非受動喫煙者群(NONーPS)、家庭における家族が喫煙している受動喫煙者群(PS)に分類して検討した結果、平均値はPS群がNONーPS群より高かったが、統計学的有意差は認められなかった。今後、個体差によるばらつき、或いはDesmosine排泄に関与する因子について更に検討を要すると思われる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Matsuki H.,Watanabe T.,Misawa K.,Kasuga H.: "An epidemiological study for air pollution and indoor air pollution used by urinary desmosine." Tokai J.Exp.Clin.Med.