1989 Fiscal Year Annual Research Report
膠原病患者妊婦の危険因子としての抗カルジオリピン抗体の研究
Project/Area Number |
01570350
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高林 克日己 千葉大学, 医学部, 助手 (90188079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 隆夫 千葉大学, 医学部, 助手 (80146795)
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Keywords | 抗カルジオリピン抗体 / リン脂質 / 流産 / 全身性エリテマト-デス / 膠原病 / 妊娠 |
Research Abstract |
抗カルジオリピン抗体(ACL)の妊娠に対する影響について、臨床研究、基礎的研究の両面から検討している。臨床研究としては、ACLの妊娠に対する影響をSLE患者、習慣性流産患者で検討した。ACL陽性SLE妊娠患者の35%に流死産が観察され、また習慣性流産患者の10%にACLが陽性であった。国内の研究機関に対してはACLの標準血清を供給して、酵素抗体法による測定法の標準化に努めた。さらにACL高値で子宮内胎児死亡を繰り返す患者にステロイド剤を投与して抗体価を低下させることで、生産を得ることに成功した。基礎的研究としては、in vitroの実験においてはACLの解析をモノクロ-ナル抗カルジオリピン抗体の作製により進展することができた。作製した18株のモノクロ-ナル抗体の中で13株はDNAと反応し、また10株は抗核抗体活性が認められた。さらに3株はル-プス・アンチコアグラントとして作用することが示され、ACLとル-プス・アンチコアグラントの一部は同一の抗体であることが示された。現在これを妊娠したBALB/Cマウスに投与して流死産がおこるか否かを観察しており、胎盤における梗塞について病理学的検討を行う。またモノクロ-ナル抗カルジオリピン抗体のうちの3株は血管内皮細胞およびヘパリンとも反応した。このことからACLは内皮細胞上のヘパリン様物質に結合してその抗凝固活性を阻害することで血栓形成を惹起する可能性が示された。さらにこれらを産生するハイブリド-マのgene-sequenceの検索を行って、もちいられているV gene familyにつきそのhomologyなどについての検討を行うところである。
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