1989 Fiscal Year Annual Research Report
B型肝炎における肝細胞壊死発生機序に関する基礎的・臨床的研究
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01570396
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
辻 孝夫 岡山大学, 医学部, 教授 (80033306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 和秀 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (90140491)
戸部 和夫 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (60135978)
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Keywords | B型肝炎 / ウイルス肝炎 / 自己免疫性肝炎 / 肝細胞膜抗原 / 抗肝細胞膜抗体 / 肝細胞壊死の機序 / 肝細胞レセプタ- / ウイルスレセプタ- |
Research Abstract |
1.肝細胞ーpARの性状分析とその精製 既に肝細胞膜特異抗原分画(LMAg)中に肝細胞ーpARが豊富に存在することが予想されていたので、正常肝ホモジネ-ト105,000g遠沈上清のSDSーPAGEを行い、酵素標識ポリマ-化アルブミン(HRPOーpHSA)を用いたWestern blottingにて行ったところ、肝細胞ーpARは15および14.8kDに同定された。肝ホモジネ-ト上清をSDSーPAGE後nitrocellulose膜に転写し糖鎖の検討をしたところ、コントロ-ルのtransferrinは陽性に染色されたが、肝細胞ーpARは陰性で糖鎖を持たないproteinであると考えられた。さらにSDSーPAGE後のgelより肝細胞ーpARのbandを切り出し、濃縮後、protein sequencerにてアミノ酸配列を検討し、N端末のValineよりはじまる10個のアミノ酸配列を決定した。 2.肝細胞ーpARの肝組織局在 精製肝細胞ーpARを家兎に免疫して抗血清を得、正常ヒト肝組織を凍結切片としてPFA固定を行い、家兎抗血清を1次抗体とし、さらに2次抗体としてFITC標識抗家兎免疫グロブリンを用いて染色し、蛍光顕微鏡下に観察した。家兎に免疫して得られた抗血清は、Western blottingにて肝細胞ーpARと特異的な反応が確認された。蛍光抗体法による検討では、肝細胞のcytoplasmおよびmembraneに特異蛍光を認めた。 3.血清中肝細胞ーpAR抗体の臨床的意義 肝細胞ーpAR抗体の検出はELISA法によった。精製肝細胞ーpARをmicroplateに固層化し、被検血清と反応させHRPO標識ヒト免疫グロブリンを加え、OPDで発色、492nmの吸光度を測定した各種肝疾患における陽性頻度は、SーGPT異常群で正常群に比し有意に高値を示し、HBs抗体陽性の肝細胞膜抗体陽性例ではより高率に検出された。病型別では無症候性キャリア、慢性持続性肝炎、慢性活動性肝炎へと病型が進展するにつれて抗体価の上昇がみられた。
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Research Products
(2 results)