1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570543
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小林 正紀 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (50170353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一木 貴 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (50203097)
杉山 成司 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (50150777)
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Keywords | ミトコンドリア脳筋症 / 皮膚繊維芽細胞 / ATP産生能 / コハク酸 |
Research Abstract |
はじめに:ミトコンドリア脳筋症患者の皮膚繊維芽細胞を用いてATP産生能を測定することにより、各種基質、治療薬のミトコンドリア・エネルギ-産生能に対する影響をみる目的で、基礎的検討を行った。 対象:複合体I欠損と複合体IV欠損の各2例の皮膚繊維芽細胞を用いた。いずれの症例も筋ミトコンドリアにより上記の診断がついている。 研究方法:皮膚繊維芽細胞を培養後トリプシン処理し、その沈渣を0.25M蔗糖、20mMMOPS、20mMEDTA、pH7.4の溶液中でホモゲナイズ処理後、遠心しその上清を酵素液とした。基質として(1)5mMpyruvateと0.3mMmalate(2)5mMsuccinateと1μMrotenone、(3)1mMmalaeと5mMDL-acetylcarnitineの3種の反応系を用い、それらを含む反応溶液(0.25M蔗糖、25mMMOPS、1mMEDTA、5mMK_2HPO_4、1mMADP、pH7.4)に上記上清を加えて37℃、2時間反応させた。20%TCAで反応を終了させ産生されたATPをルミノメ-タ-(LKB1250)を用いて測定した。 結果と考案:本方法では比較的少量の細胞(75cm^2フラスコ1個)で実験が可能で、しかもルミノメ-タ-を用いることによりATPを高感度に測定できた。複合体I欠損症では(1)、(3)の反応系でATP産生能の低下を示したが(2)のsuccinateを基質とした反応系では、両者ともATP産生は低下していなく、治療としてsuccinateの投与は有効と考えられた。一方、複合体IV欠損症ではすべての系ともATP産生は低下した。本法を用いて治療薬として考えられるCoQ、カルニチンなどを反応系に加え、ATP産生能をみることは、本症患児の治療の目安となり有効な方法と考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] TAKASHI ICHIKI: "Disproportionate deficiency of iron-sulfur clusters and subunits of complex I in mitochondrial encephalomyopathy" Pediatr.Res.25. 194-201 (1989)
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[Publications] 鈴木賀巳: "コハク酸が有効と思われたミトコンドリア脳筋症(MELAS)の1例-複合体Iのサブユニットの減少を認めた症例-" 日本小児科学会雑誌. 93. 2798-2803 (1989)
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[Publications] 小林正紀: "ミトコンドリア・ミオパチ-患児の皮膚繊維芽細胞におけるATP産生能の検討" 日本先天代謝異常学会雑誌. 5. 161 (1989)
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[Publications] 一木貴: "複合体I欠損症を伴うミトコンドリアミオパチ-の治療-尿酸をはじめとするエネルギ-代謝の検討-" 脳と発達.