1990 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚色素沈着症,特に真皮性メラノソ-ム沈着症の発生機序に関する研究
Project/Area Number |
01570572
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
濱田 稔夫 大阪市立大学, 医学部, 教授 (80046870)
|
Keywords | 真皮性メラノソ-ム沈着症 / 摩擦黒皮症(friction melanosis) / 原発性皮膚アミロイド-シス / 斑状アミロイド-シス / 続発性皮膚アミロイド-シス / 組織学的色素失調 |
Research Abstract |
アミロイド物質が皮膚に限局して沈着する皮膚アミロイド-シスには原発性と続発性に分けられる。原発性皮膚アミロイド-シスは皮膚に色素沈着を来すものがほとんどであるが,斑状アミロイド-シスが最も著明であり,中には脱色斑を来して白斑黒皮症の症状を呈するものもある。斑状アミロイド-シスは,病理組織学的,組織化学的に真皮乳頭にアミロイドが沈着し,その直上の基底層ではメラニン顆粒は減少するとともにメラノサイトも減少し、真皮への色素失調が認められる。この色素失調を来す機序として,電顕的に真皮に産生された変性コラ-ゲン由来と考えられるアミロイドがbasal laminaを押し上げ,これがケラチノサイト及びメラノサイトを直接圧迫または栄養障害に陥いらせることにより,変性を促し,その結果,真皮にメラニン顆粒〔電顕レベルではメラノ・ソ-ム〕及びメラニン顆粒をもった変性ケラチノサイトの適落が起こり,マクロファ-ジ及び線維芽細胞にメラニン顆粒が取り込まれて色素異常が起こるものと考えられた。白斑黒皮症の臨床を示す皮膚アミロイド-シスの脱色素斑部では,アミロイド沈着は脱色素斑境界部に著明なことが多く,基底層のメラニン顆粒やメラノサイトは消失し,メラノファ-ジも消失するに至り,これらの所見は炎症後の色素脱失の像に包含される。摩擦黒皮症(friction melanosis)の皮膚病巣部は骨上部とともに,摩擦による機械的刺激をうけやすい上背部,頚部,腹部などにも,びまん性の色素沈着がみられることが多く,このような色素沈着部にアミロイドが沈着することも認められた。表皮内メラニン顆粒の真皮への滴落もみられ,表皮基底層の液状変性に基づく色素失調であり,真皮性メラノソ-ム沈着症に相当する。原発性皮膚アミロイド-シスのほかに続発性とされる病型においても,誘固として外的因子によるものがあることから,皮膚アミロイド-シスの分類も再検討する必要が考えられた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 濱田 稔夫: "皮膚漂白剤の臨床的応用とその問題点" 臨床皮膚科. 44. 629-633 (1990)
-
[Publications] 濱田 稔夫: "皮膚色素異常症" 日本皮膚科学会専門医委員会, 58 (1990)