1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570597
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
田中 敬正 関西医科大学, 医学部, 教授 (40131445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 武夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (80077784)
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Keywords | 熱感受性 / 過血糖 / グルコ-ス / 腫瘍内pH |
Research Abstract |
目的;本年度は、過血糖により人為的に癌組織内のacidificationをはかり、腫瘍の熱感受性を選択的に増強することである。 方法:ICRマウス(雄5週令)の大腿部皮下に移植したS-180を用い、腫瘍は移植後、7〜8mm径に成長したものを実験に使用した。グルコ-スは6mg/gを腹腔内投与を行い高血糖誘発し、組織pH測定には、マニピュレ-タ-に設置され外径40〜60μmのpH電極を数μmづづ刺入して測定した。温熱処理は、恒温水槽を用い、43℃、30分間の温熱を加えた後、種々の時間後、2回目の43℃、30分間の温熱を加えた。 結果;グルコ-スの投与後、高血糖症が発生し、腫瘍部は0.3〜0.6pHの低下を示したが、正常部は0〜0.1pHの減少にとどまり、その回復時間も早かった。温熱処理時のpH低下は腫瘍部も正常部も0.2〜0.3pHの低下が起こり、温熱とグルコ-ス投与の併用では、pHの変化は腫瘍部では6.9から6.5へ、正常部では7.2から6.9へ減少し、加温後正常部はすぐに元のpH値に回復したが、腫瘍部の回復時間は遅かった。温熱耐性はグルコ-ス投与群で、加温後、6時間目に最大を示し12時間目には消失しているが、グルコ-ス非投与群では12時間目に温熱耐性が最大となり72時間後も温熱耐性の完全な消失を示していなかった。加温度12時間目にグルコ-ス投与群の腫瘍成長速度は、4日間も非投与群より遅れ、全加温間隔で1〜2日間の遅れが示され、グルコ-スによる有意な温熱増感が示された。本研究の結果から、グルコ-ス投与により誘発する高血糖症は腫瘍部を選択的に低pHに出来る事が示された。これらの結果から本法は腫瘍部に対し、温熱効果を選択的に増強できることを示唆している。
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