1990 Fiscal Year Annual Research Report
遠隔転移を有する小児進行神経芽腫の効果的な治療法の研究
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01570719
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
荻田 修平 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (20128698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常盤 和明 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (30163968)
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Keywords | 神経芽細胞腫 / 免疫療法 / 手術侵襲 |
Research Abstract |
平成2年度の研究目的は、(1)マウス神経芽腫Cー1300移植A/Jマウスの免疫担当細胞の機能を経時的に検討する。(2)癌細胞(Cー1300)由来の液性因子(PGE_2)の量的変化、特にreduction surgeryに伴う変化、を観察する。(3)手術操作の担癌宿主の細胞性免疫能におよぼす影響を検討する。さらに平成1年度より継続している1才以下発症で病期IまたはIIの患児より得られた神経芽腫組織のヌ-ドマウスへの移植(in vivoの研究モデルの作製)である。この内(1)については細胞採取量の関係からマウス脾細胞で観察を行ったが、Cー1300のA/Jマウスへの生着を認めてからマウスの癌死開始までの期間が5日間と短いためか、脾の免疫担当細胞の細胞障害活性の経時的な観察では有意の変化は認められなかった。そこで、末梢血リンパ球および局所リンパ節のリンパ球での再検討を考慮している。(2)については、癌細胞由来と思われるPGsの内、血清PGE_2か腫瘍縮小手術直後にcontrol群のそれに比し一過性に増加する事が認められた。(3)については従来報告されてきたごとく手術侵襲により宿主の細胞性免疫能は低下する事が観察された。平成1年よりの継続事項では、一才以下発症で病期IまたはIIの患児より得られた神経芽腫組織のヌ-ドマウスへの移植を試みたが現在まで生着例を得る事が出来なかった。1才以下で発症する例(病期I,IIか82%)ではNーmyc癌遺伝子増幅が認められず1才以上で発症する予後不良な神経芽腫とは腫瘍そのものの生物学的特性を異にする可能性を示唆する報告が認められる(小児がん,27:34ー35,1990)。これらの事より、研究年度内に神経芽腫の年齢による生物学的差異を究明し、当初予定したin vivoの研究モデルを作製する事が危惧されている。
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