1990 Fiscal Year Annual Research Report
実験的くも膜下出血の局所脳代謝および循環におよぼす“直接効果"について
Project/Area Number |
01570801
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山浦 晶 千葉大学, 医学部, 助教授 (40009717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 千秋 千葉県こども病院, 医長
大里 克信 千葉大学, 医学部, 助手 (90125906)
岡 信男 千葉大学, 医学部, 助手 (40114251)
中村 孝雄 千葉大学, 医学部, 助手 (70155836)
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Keywords | くも膜下出血 / オ-トラジオグラフィ- / 局所脳グルコ-ス代謝率 / 局所脳血流 / 脳腫脹 / 脳機能障害 |
Research Abstract |
くも膜下出血の“直接効果"を検討するため新たに作成したラットの一側脳表くも膜下出血(SAH)モデルを用い、局所脳グルコ-ス代謝率(LCGU)、局所脳血流(LCBF)の測定、ならびに病理組織学的検討を行なった。実験をSAH作成後2時間時群、48時間時群ならびに同量の生理食塩水を注入した対照群の3群に分けそれぞれ検討した。 1.LCGUについて 出血2時間時群の患側皮質LCGUは同群健側に比べ11%から29%、また対照群患側に比べて6%から30%低下し有意な差を認めた。出血48時間時の患側皮質莉LCGUは同群健側に比べ4%から16%低下したが、2時間時群に比べ回復の傾向にあった。2時間時群 48時間時群ともに皮質下組織ではLCGUに変化を認めなかった。 2.LCBFについて 出血後2時間時群の患側皮質LCBFは対照群患側に比べて26%の有意な低下を認めた。出血48時間時の患側皮質LCBFは対照群に比べ数%の低下にとどまった。 3.病理組織学的検討について 出血後2時間時の皮質領域ではすでに脳腫脹が生じていた。48時間時にも依然腫脹は続いており、LCGUやLCBFの経時的変化を説明する所見は得られなかった。 以上の結果は、くも膜下腔の血液自体が脳循環代謝に影響をおよぼすことを示すもので、その影響はくも膜下出血の“直接効果"と考えられる。今後この機序の解明が期待される。
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Research Products
(1 results)