1989 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌に対する特異的キラ-細胞の局所投与による養子免疫療法
Project/Area Number |
01570884
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小川 秋賓 信州大学, 医学部泌尿器科, 教授 (10009954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 健二 信州大学, 医学部付属病院, 講師 (00115388)
岡根谷 利一 信州大学, 医学部泌尿器科, 助手 (30160691)
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Keywords | 腎細胞癌 / 腫瘍浸潤リンパ球(TIL) / 細胞障害能 / 特異性 / インタ-ロイキン2(IL2) / CD3 |
Research Abstract |
腎癌患者の手術時に摘出した腎細胞癌組織を摘出後ただちに培養液中で細切処理し、比重遠心法およびプラスチック付着法により腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離した。いずれの例でも比較的多くのTILの分離が可能であった。TILをeffector細胞とし、また自己腫瘍細胞をtarget細胞としてクロム放出法により細胞障害性試験をおこなった。effector細胞としては末梢血リンパ球も、target細胞としてはK56z、Raji、ACHNの培養細胞を用いた。さらにリンパ球の表面マ-カ-を検討した。一部の例についてはTILを添加培養後にその細胞障害能を検討しした。TILはその細胞障害能は低く、自己腫瘍に対しては6〜8%のみである例が多く、一部は20%程度の比較的高い細胞障害能を示した。これらは、梢血リンパ球の場合と同様であった。またK56z、Raji、ACHNに対しても末梢血とほぼ同じくらいの細胞障害性を示した。IL-2添加培養後は有意に各細胞に対し細胞障害能は増強したが、多くの場合は末梢血リンパ球の場合と差がなく、特に強い細胞障害能はみられなかった。 また自己腫瘍に対する特異性が証明できる例はなかった。表面マ-カ-は主にT細胞系のものが多かったが、症例によりバラツキが大きく、はっきりとした傾向は証明できていない。このようにTILが末梢血リンパ球に比べて自己腫瘍に対して特異的な細胞障害能をもっているとは思えない。一部はCD3抗体塗布したプラスチックシャ-レで培養し、細胞障害能につき検討したが、TILの数の増加はみられたが、細胞障害能の有意な増強な今のところ証明されていない。従って臨床例での投与はおこなっていない。
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