1990 Fiscal Year Annual Research Report
絨的性腫瘍における“がん遺伝子"発現の動態とその構造異常
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01570942
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
佐々木 茂 日本医科大学, 医学部・産婦人科学, 助教授 (60089737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 信夫 日本医科大学, 老人病研究所, 助教授 (20147862)
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Keywords | oncogene / expression / amplification / choriocarcinoma cell line / trophoblastic diseases / Hydatiform nule / DNA / mRNA |
Research Abstract |
引き続き本年度も昨年度と同様の検討を行なった。すなわち胞状奇胎新鮮組織を無菌的に収集し、培養系に移して、染色体分析を施行した。ホモ奇胎、ヘテロ奇胎、部分奇胎の分析にあたり、癌遺伝子の発現について検討を加えた。年々胞状奇胎妊娠は減少して来ており、本年度はわずか8症例の検体が収集された。うち1例は部分奇胎であり染色体液型分析は69、XXXの三倍体であった。染色体分析に成功した残りの4例は全てホモ奇胎であった。全症例からDNAの抽出は問題なく行なえたが、mRNAの抽出はむずかしく、今後は全RNAの抽出を行なってmRNAの分析に代えて行く必要があると思われた。またIN SITu HYBRIDIZASIONを行なったところnyeの増幅がわかったので、組識からのmRNAの抽出も試みる一方、in situ hybridization の方法を用いるのもひとつの解決方法であることが判明した。今後の研究をつづけて行くうので、とくにmRNAの取り扱いについて得られ示唆は今回の研究の収穫のひとつである。一方コントロ-ルとして用いた胎盤にさいては妊娠週数に応じて各癌遺伝子の発現が変化することが判明した。今回は末期胎盤を対照として用いたが、今後は妊娠週数の変化に応じて各がん遺伝子の発現が異なってくるということが判明したことも大きな成果となった。増幅されたがん遺伝子が活性型であるかどうかについての検討は、NIH3T3細胞をとり寄せて、Fows形成を認める実験学を組みたてるところまで施行できた。これについては更にヌ-ドマウスが必要であり、今後の研究果題として次年度以降にもちこむこととなった。本研究の成果は、国際癌学会(UICE)の認めるところとなり、1990年8月ハンズルグに於て開催された第15回国際癌学会において研究代表者である佐々木は招待演者として招かれ、本研究の全内容を発表する機会を与えられたことを付記して実績報告書のしめくくりとしたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.SASAKI,Y.OHTA,I.ISOZAKI,N.NOMURA T.ARAKI,R.A.PATTILLO: "STUDY ON EXPRESSION AND AMPLIFICATION OF CーONCOGENES IN CHORIOCARCINOMA CELL LINES" TUMOR & INFECTION(腫瘍と感染). 3. 181-190 (1990)
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[Publications] T.ISOZAKI,S.SASAKI Y.OHTA,T.ARAKI: "EXPRESSION AND AMPLIFICATION OF ONCOGENS IN FRESH HYDATIDIFORM MOLE" Tumor&Lnfection(腫瘍と感染). 3. 385-396 (1990)
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[Publications] 佐々木 茂.磯崎 太一: "絨毛性疾患について" 日本医事新報. 第3488号. 37-40 (1991)