1991 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頸癌における主要組織適合抗原複合体および浸潤リンパ球に関する研究
Project/Area Number |
01570943
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
杉本 修 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00084822)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 吉明 大阪医科大学, 医学部, 助手 (00224080)
岡村 信介 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90104306)
植木 実 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (40084892)
|
Keywords | クラスI抗原 / クラスII抗原 / ICAMー1 / 子宮頸癌 / リンホカイン / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
種々のリンホカイン(TNFーα,ILー1,ILー2)添加による子宮頸癌培養細胞上のクラスIおよびクラスII抗原の発現増強効果をE.I.A法によって検討し,さらにM.T.T Assayによりこれらのリンホカインによる細胞障害効果に関しても検討した.頸癌病巣および周囲間質におけるICAM(intracellular adhesion molecule)の発現状況を免疫組織化学的に同定し,浸潤リンパ球の多寡との関連性について検討した.さらに頸癌細胞上に発現したICAMー1のリンホカインによる増強効果を検討し,以下の結果を得た. 1.頸癌細胞上のクラスIおよびクラスII抗原の発現はTNFーαの添加により濃度依存性に増強したが,ILー1,ILー2の添加においてはそのような効果はあまりみられなかった.また,TNFーαの前投与または併用はIFNーγによるクラスIおよびクラスII抗原の発現増強効果を助長せしめることが判明した. 2.IFNーγ,TNFーαを高濃度に添加した場合,頸癌細胞に対する細胞障害効果が現れたが,ILー1,ILー2では明らかではなかった. 3.頸癌病巣周囲の血管内皮や間質にはICAMの発現がみられ,さらに頸癌細胞自体にも発現している症例があった.これらでは,病巣周囲にリンパ球浸潤が強い傾向があった. 4.蛍光抗体法による検討において,頸癌培養細胞OMCー1およびOMCー4上にICAMの発現がみられた.また,IFNーγおよびTNFーαの添加によってICAMー1の発現が増強した. 以上より,IFNーγおよびTNFーαは頸癌局所において局主に有利であると思われる頸癌細胞上のクラスIおよびクラスII抗原,さらにはリンパ球浸潤に必要とされるICAMー1の発現を増強することにより,局所免疫応答能を高める可能性があることが示唆された.
|