1989 Fiscal Year Annual Research Report
滲出性中耳炎の発症メカニズムと遷延化におけるサ-ファクタント様物質の役割
Project/Area Number |
01570956
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
形浦 昭克 札幌医科大学, 医学部, 教授 (60045359)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 和夫 札幌医科大学, 医学部, 助手 (60206232)
小林 一豊 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70145564)
|
Keywords | surfactant / 滲出性中耳炎 / モノクロ-ナル抗体 / 中耳貯留液 / 免疫学的定量 / サ-ファクテン / Western-blotting法 / 酵素抗体法 |
Research Abstract |
1)Surfactantアポ蛋白特異的モノクロナ-ル抗体(PC-6,PE-10)を用いた免疫組織学的検索で、正常ヒト中耳粘膜の耳管開口部にSurfactant陽性細胞が存在し、粘膜上皮表層にも陽性所見がみられることを見いだしている。またGoblet細胞等の分泌細胞はこれらの抗体に反応しなかった。以上の結果から、中耳腔には肺胞II型細胞に類似した細胞が存在し、Surfactant様物質を中耳腔に分泌している可能性が示唆された。 2)酵素抗体法を用いたDot法によって、滲出性中耳炎患者の貯留液中にSurfactantアポ蛋白が存在することをみいだした。この貯留液中に存在する蛋白は、Western-blotting法から、分子量80kDaであることが示唆された。 3)免疫学的定量法はSurafactantアポ蛋白微量定量法(同時二抗体免疫測定法)を応用して行い、中耳貯留液中のアポ蛋白を測定した。この結果、serous typeがpurulent,mucoid typeよりアポ蛋白検出例が高いことを見いだした。また滲出性中耳炎の罹病期間が長くなるほど、Surfactantアポ蛋白検出率が低くなる傾向もみられた。 4)サ-ファクテン(人工Surfactant)をモルモット中耳腔に注入し中耳粘膜の反応を正常、中耳炎群両者で組織学的に比較検討した。この結果、サ-ファクテンが中耳炎の治癒を促進する可能性が示唆され、継続研究を行っている。 以上の結果については別紙の如く発表している。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 小林一豊、山中昇、形浦昭克、他: "中耳腔におけるSurfactant様物質(その1)" Ear Research Japan. 19. 300-302 (1988)
-
[Publications] 山中昇、小林一豊、鈴木敏夫、形浦昭克、他: "中耳腔におけるSurfactant様物質(その2)" Ear Research Japan. 19. 303-305 (1988)
-
[Publications] 小林一豊、山中昇、形浦昭克、他: "中耳腔におけるSurfactant様物質(その3)" Ear Research Japan. 20. 169-170 (1989)
-
[Publications] 山中昇、小林一豊、形浦昭克、他: "中耳腔におけるSurfactant様物質(その4)" Ear Research Japan. 20. 171-172 (1989)
-
[Publications] Noboru Yamanaka,Kazutoyo Kobayashi,Akikatsu Kataura,et al.: "Immunoassay of surfactant protein A in middle ear effuisions" Ann Otol Rhinol Laryngol.
-
[Publications] Kazutoyo Kobayashi,Noboru Yamanaka,Akikatsu Kataura,et al.: "Presence of a 80 kDa protein,cross-reacted with monoclonal antibodies to pulmonary surfactant protein A,in the human middle ear" Ann Otol Rhinol Laryngol.