1990 Fiscal Year Annual Research Report
AIDS,ATL,B型肝炎ウイルスに対する消毒剤が模型表面性状に及ぼす影響
Project/Area Number |
01571038
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安部 敏 東北大学, 歯学部, 助手 (10222647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 正志 東北大学, 歯学部, 助教授 (10005069)
奥田 礼一 東北大学, 歯学部, 教授 (80005024)
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Keywords | 印象材 / 模型材 / AIDS / ATL / B型肝炎 / グルタ-ルアルデヒド / ポビドンヨ-ド / アルコ-ル |
Research Abstract |
印象材や模型材を介して院内感染を防止することを目的として、AIDS,ATL,B型肝炎罹患患者の印象採得後に、印象表面を薬液により消毒した場合、このような処理が模型の寸法変化にいかなる影響を与えるかについて検討した。 印象材には、2種にシリコ-ン印象材(Tosicon,Exaflex)、1種の寒天印象材(Dentloid PINK)、1種のアルジネ-ト印象材(Algiace)、模型材には、超硬石膏(Fujirock)、硬石膏(New Plaston)を用いた。消毒液には、2%グルタ-ルアルデヒド、70%アルコ-ル、10%ポビドンヨ-ド溶液を用いた。 内外側対照測定器を原形として用いて、これを各印象材で印象採得し、各消毒液に30分間浸漬した後、10分間水洗、軽く乾燥し、超硬石膏を注入して模型を製作した。この模型に内外側適合子を装して浮き沈み量をディジタルダイアルゲ-ジ(小野測器社)で読み取り、内側面と外側面における膨縮変化量を測定し、以下の結果を得た。 1,印象材としてTosiconを用いた場合には、無処理、各消毒処理とも内外側適合子は浮き上がりを示した。無処理における外側適合子の浮き上がり量は493μm、内側適合子の浮き上がり量は184μm、アルコ-ル処理した場合は、それぞれ757μm、349μm、ポビドンヨ-ド処理した場合は、それぞれ669μm、349μm、グルタ-ルアルデヒド処理した場合は、それぞれ704μm、335μmであった。 2,印象材としてExaflexを用した場合には、アルコ-ル処理の内側適合子のみが沈下し、それ以外は浮き上がりを示した。無処理における外側適合子の浮き上がり量は、441μm、内側適合子の浮き上がり量は、73μm、アルコ-ル処理した場合は、それぞれ502μm、ー27μm、ポビドンヨ-ド処理した場合は、それぞれ457μm、55μm、グルタ-ルアルデヒド処理した場合は、それぞれ656μm、90μmであった。 3,印象材としてAlgiaceを用いた場合には、無処理、各消毒処理とも内外側適合子は浮き上がりを示した。無処理における外側適合子の浮き上がり量は、575μm、内側適合子の浮き上がり量は、232μm、アルコ-ル処理した場合は、それぞれ3501μm、2375μm、ポビドンヨ-ド処理した場合は、それぞれ409μm、407μm、グルタ-ルアルデヒド処理した場合は、それぞれ203μm、162μmであった。 4,寒天アルジネ-ト連合印象法を用いた場合については、現在検討中であるが、アルコ-ル処理において著しい浮き上がりが計測された。 5,アルジネ-ト印象材の場合には、アルコ-ル処理において模型材に著しい寸法変化を認めたが、シリコ-ン印象材では、いずれの場合も、無処理の場合とほぼ同等な寸法精度の模型が得られ、シリコ-ン印象材をこれらの患者の印象採得に応用すれば、いずれの消毒処理も可能であることが示唆された。
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