1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571050
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
川越 昌宜 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (40028741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩元 裕子 鹿児島大学, 歯学部附属病院, 助手 (10191454)
長岡 成孝 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (10155913)
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Keywords | 象牙質う蝕 / 免疫グロブリン / 象牙細管 / 酵素抗体法 / 歯髄炎 |
Research Abstract |
象牙質う蝕の進行ないしは防御の過程で象牙質に生ずる種々の変化(脱灰、再石灰化など)と、各種の免疫グロブリンとの関係を明らかにするために、平成元年度より3年間、本研究を行ってきた.具体的には、1.う蝕象牙質部の硬さを詳細に測定して、これを以後の実験の基礎資料とし、2.走査電顕および非脱灰標本を用いて、う蝕象牙質内、とくに象牙細管内に生じた種々の組織学的変化を調べ、3.さらに細菌染色と酵素抗体法を行って、細菌および各種の免疫グロブリンのう蝕象牙質内での局在を明らかにし、象牙質う蝕の進行と防御のメカニズムを明らかにすることであった.研究はほぼ順調に進展し、当初予定していた実験はすべて終了した.結果を要約すると、生活歯においては、う窩の表層部以外に、う蝕象牙質内の主として細菌が侵入した部位の歯髄側細管内にもIgGなどの免疫グロブリンの局在がみとめられた.しかしこのとき歯髄の炎症は軽度で、形質細胞はほとんどみられなかった.一方、失活歯では、表層部には生活歯と同様に免疫グロブリンが観察されたが、歯髄側の細管内ではいずれの免疫グロブリンもみとめられなかった.なお分泌型IgAの構成成分であるSecretary Componentは歯髄の生死に関係なく、う窩の表層の表層部にだけ観察された.したがって象牙質う蝕の初期に歯髄側細管内にみられる免疫グロブリンは、歯髄を経た血清由来のものが大半を占めていると考えられる.そして、う蝕が進み歯髄の炎症が拡大すると、これに細胞が産生する免疫グロブリンが加わって、細管内を侵入してくる細菌群に対抗するようになるのではないだめうか.いくつかの状況証拠をもとに推論を組み立てると以上のようになるが、もちろん詳細は今後の研究の進展にゆだねられている.
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