1989 Fiscal Year Annual Research Report
腎症候性出血熱ウイルスの実験動物での伝播様式並びに体内での消長に関する研究
Project/Area Number |
01580043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堂前 嘉代子 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80127266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 毅 国立予防衛生研究所, 病理部, 部長 (50012779)
山西 弘一 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (10029811)
山之内 孝尚 大阪大学, 微生物病研究所学部, 教授 (40029765)
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Keywords | 腎症候性出血熱HFRS / 韓国型出血熱(KHF) / ラット / マウス / 不活性化ワクチンBー1 |
Research Abstract |
わが国の動物実験に伴う賢症候性出血熱(HFRS)の発症は昭和60年以降停止した。本症発症の要因である汚染実験動物、特にラット相互間のウイルス伝播様式を明かにする目的で実験を行った。 1.HFRS virus汚染ラット腫瘍(Malignant Fibrous Histiocytoma MFH)よりvirusの消去を行い、抗体陰性ラットの腫瘍のin vitro培養に成功した。培養MHF細胞にHFRS virus Bー1株を接種し感染細胞を確認後、ヌ-ドマウスに接種した。非感染細胞接種群では全個体に腫瘍形成を認めたが、感染細胞接種群では認められなかった。 2.生後6週ー10週齢ラットにBー1株を接種し、間接蛍光抗体法による血清抗体価1:8192ー16384倍に上昇したラットを長期飼育し、抗体価の変動、virusの消長をを血清抗体検査及び各臓器からのvirus分離を行い検索し、2.5ケ年間では主として脳材料からvirusを分離し得た。3年経過ラットの脳、肺、脾、各臓器材料よりvirus分離を行い、脳より高率に、分離し得たが肺からも分離可能であった。脾臓材料の接種を受けた新生仔ラットに抗体上昇を認め成熟ラットBー1株を感染長期飼育すると、3年経過後もラット体内でvirusの持続感染を認めた。 3.HFRS抗体保有ラットの新生仔にHFRS virusを接種し哺育させ、また同日分娩抗体保有ラット、正常ラット、それぞれの新生仔にHFRS virusを接種、3日後に産仔交換を行い各群平均体重の推移、生残数を観察した。抗体保有母ラットより離乳時まで、又3日間のみ授乳された新生仔ラットは両群とも順調に成育した。母体からの移行抗体が新生仔に接種したvirusの増殖を阻害したと考えられる。不活化ワクチンBー1,Bー1株、KHF83ー61BL株をそれぞれ接種した母マウスからの新生仔に対する接種実験においても新生仔マウスは順調に成育した、。今後、不活化ワクチン接種母マウスについて母仔免疫の効果の持続性について検討する。
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[Publications] 堂前嘉代子: "腎症候群出血熱ウイルス、及び関連ウイルスの新生仔マウス、新生仔ラットに対する病原性の比較検討" 和歌山医学. 40. 1-13 (1989)
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[Publications] Yoshio Mii,Y.Miyauchi,K.Hohnoki,H.Haruyama,M.Tsutsumi,K.Dohmae,T.Yamauchi…etc.: "Neural Crest Origin of Clear Cell Sarcoma of tenons and aponeuroses" Virchows Archiv A Pathol Anat. 51-60 (1989)