1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01580058
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
駒城 素子 お茶の水女子大学, 家政学部, 助教授 (10077480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 利誠 お茶の水女子大学, 家政学部, 教授 (00013152)
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Keywords | 汗 / 乳酸 / ヒスチジン / 反応染料 / 光退色 / 吸着 / 前端クロマトグラフィ- |
Research Abstract |
1.染色物の光退色におよぼす汗成分の影響(駒城) 前年度に次いで汗物質としてさらにウロカニン酸や、数種のヒドロキシカルボン酸、グリシンを加えて実験を行なった。その結果、1)ヒスチジンとウロカニン酸は影響が異なり、共通の構造であるイミダゾ-ル環は退色に関係しない。2)アゾ系の非含銅型染料に対しては、乳酸、2ーヒドロキシ酪酸のようなαーヒドロキシカルボン酸が、含銅型染料に対してはヒスチジン、グリシンに共通するアミノ酸構造が光退色に影響を与える。3)乳酸、ヒスチジンの酸化ー環元電位とpHとの関係は、両者とも類似しており、比較のため測定したアスコルビン酸ほど低い(負)電位は示さない。したがってそれ自体の還元力は大きくないものの、光により還元が生じると考えられる。4)これら染料で染色したセロハンおよび綿布を、ヒスチジン、乳酸、2ーヒドロキシ酪酸の各水溶液に浸漬して露光した結果、退色速度は水溶液系より小さいが、傾向は同様であった。特に染色布の色差によってその傾向が明白に現われた。 2.繊維物質に対する汗成分の吸着(中島) 今年度は主に、一定濃度の溶液をカラムに流し続け、相互作用により溶出が遅れた量を吸着量とする“前端クロマトグラフィ-"により検討した。吸着等温線を作成した結果、ヒスチジン/セルロ-ス系、乳酸/ポリアミド系いずれもラングミュア型を示し、これに基づいて計算した吸着熱(ΔH゚)は前者でー7.93kcal・mol^<ー1>、後者でー3.91kcal・mol^<ー1>、吸着エントロピ-変化(ΔS゚)は前者でー5.30cal・mol^<ー1>・deg^<ー1>,後者でー0.44cal・mol^<ー1>・deg^<ー1>であり、どちらも弱い物理的吸着であることを示している。なお、実験するに当って予め、それぞれの繊維粉末を十分精製しておくことが再現性のある結果を得るために大変重要であることが明らかになった。
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