1990 Fiscal Year Annual Research Report
織物の改質による表面自由エネルギ-制御と洗浄性に関する研究
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01580073
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
川瀬 徳三 大阪市立大学, 生活科学部, 助手 (60152956)
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Keywords | 表面改質 / 表面自由エネルギ- / Soil Release加工 / Soil Repellent加工 / アクリル酸グラフト / フッ素系ブロックポリマ- / 洗浄仕事 / 界面制御 |
Research Abstract |
平成2年度は以下の項目について研究を行った。 1.疎水性繊維であるポリエステル織物を選び、アクリル酸による表面グラフト重合による表面親水化改質を行い、スクアラン,トリオレイン,オレイン酸の3種の極性の異なるモデル油性汚れを用いた洗浄実験を行い、表面親水化が洗浄性に及ぼす影響について検討した。 2.ポリエステルフィルムならびに織物の含フッ化アルキルフロックポリマ-による表面フッ素化による疎水化改質を行い、接触角測定とESーCAによる表面キャラクタリゼ-ションを行うと共に、スクアラン,トリオレイン,オレイン酸の3種の極性の異なるモデル油性汚れを用いた洗浄実験を行い、表面疎水化が洗浄性に及ぼす影響を調べた。 3.平成元年度に明らかにした、表面自由エネルギ-変化をESCAなどの分光学の結果から定量的に算出する手法を織物にも適用し、表面改質された織物の表面自由エネルギ-を算定し洗浄への影響エネルギ-論の立場から検討した。 4.1の表面親水化では分散力成分は変化せず、極性力成分が増大して行くことにより洗浄に必要とされるエネルギ-(洗浄仕事)はグラフト化により小さくなり、洗浄性は向上する事が示され、SR加工の理論的背景が明らかになった。 5.2の表面疎水化では分散力・極性力成分両者とも疎水化にともない減少するが、前者の減少は洗浄に有利に働き後者の洗浄は反対に不利に働く。洗浄仕事に対して、極性力成分の減少は大きく影響しト-タルとして洗浄性が低下する事が分かった。 以上の事から、洗浄性を考慮した場合、織物の改質により表面自由エネルギ-を制御する際には、特に、極性力成分の制御が非常に重要である事が明らかにされた。
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