Research Abstract |
本年度は,研究の最終年度であるので,初年度の製物機などをはじめとする機械関連初期制御技術の分析,および2年度のフィ-ド・バック制御理論の解明,にもとづいて,(1)シ-ケン入制御とフィ-ドバック制御の相互関連について検討した。(2)つづいて,両者の歴史的意義を技術発達過程の問題に即して検討した。(3)以上を踏まえて制御発達史の全体構造を把握するための作業を行ない,(4)成果は公刊することで作業を終えた。 制御の構造的展開は,まず,初期の段階としては,シ-ケンス的な「制御」として現われるか,次に,同じくシ-ケンス的であるか,水車や製物機などの臼の上下運動と回転との連動問題が現われる。上の段階では,運動との連動は現実的にはあるものの制御構造としては,両者は切り離れている。運動論と制御「論」が結合する段階から,制御理論の新段階に入るといえよう。ワットの調連機における回転運動の制御理論は,機械的には振動論にも連関するが,制御理論として独自の分野を切り拓く製機は,電気通信理論の発展にまたねばならない。ただ,具体的な個々の制御技術としては,電気通信ないし電子回路理論の確立以前にみられたことは,機械的操体と制御の相互関連をみる上では,明確にしておかねばならない。水量調節や圧力制御などがこれである。 制御の全体的構造を発展史的に分析する上で,理論上もっとも検討しておかねばないのか,いわゆる「内的発達法則」論,あるいは「動力ー制御」矛盾論である。この論を,機械の運動との関係で詳細に検討した結果,技術の内的矛盾を「動力」と「制御」に求めることはできないことを明らかにした。さらに本研究では,現代オ-トメ-ションにおける制御の意義を,シ-ケンス制御をまず中一におくこと。次いで,シ-ケンス制御との関連でフィ-ルドバックが重要な環をなすことを明らかにし,更にこれらの発展過程を機械工業や化学工業等,産業構造的に解明した。
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