1990 Fiscal Year Annual Research Report
原子尺度制御を目指した結晶成長制御用走査型トンネル顕微鏡の試作研究
Project/Area Number |
01850001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白木 靖寛 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (00206286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 良史 光技術研究開発(株), つくば研究所, 研究開発部長
深津 晋 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (60199164)
魚住 清彦 青山学院大学, 理工学部, 教授 (20011124)
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Keywords | 走査型トンネル顕微鏡 / 結晶成長 / 超高真空 / モリブデンブル-ブロンズ / Si(111)、Si(100) / アンチモン(Sb) / 原子層ド-ピング |
Research Abstract |
本年度では、走査型トンネル顕微鏡ユニットの真空適合化および性能の改善を行い、1.5×10^<-10>Torr以下の超高真空下のもとで100nm×100nmの範囲の観察が可能となった。一次元電気伝導体のひとつであるモリブデンブル-ブロンズを例にとり、トポグラフ、バイアス依存STM像を得た。その結果、層状物質であるこの物質のへき開面上ではカリウムイオンのサイトとモリブデン酸化物八面体の両方が観測され、伝導軸方向とその垂直方向への周期はX線測定の結果と一致する結果が得られた。カリウムサイトの被覆率は観測領域によって異なるが1よりも小さい。これは、へき開によってカリウムが2分の1の確率でふたつのへき開面上に分配されることに起因する。一方、超高真空下ではSi(111)7×7およぴSi(100)2×1の加熱清浄化後の再構成表面観察をおこなっており、それと並行して原子層ド-ピングとの関連からアンチモンを蒸着した被覆率1以下の修飾表勤観察を試みている。その他、表勤清浄化をおこなった試料の真空搬送を行い、除振性能向上を含めて成長装置の複合化による原子尺度観察の可能性を検討した。 本研究の主眼は、結晶成長装置と走査型トンネル顕微鏡の複合化を実現し、成長時の原子の挙動、表面構造の変化など原子尺度の知見を直接得るところにある。その意味において本研究では開発したSTMは、実用化への重要な基礎になると考えられる。また、シリコンの観察を通して成長結晶表面の観察を行うための準備は整ったといえる。一方、単結晶薄膜の成長ならびにアンチモン原子層ド-ピングも数多く実験を行っており、原子尺度での結晶成長観察を実現する見通しは立っている。
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[Publications] S.Fukatsu,H.Nakagawa,Y.Shiraki,and R.Ito: "A Simple Micropositioning Device for UHVーSTM"
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[Publications] S.Fukatsu,H.Nakagawa,Y.Shiraki,and R.Ito: "Atomic Details on the Cleaued Ko,3McO_3 studied by STM"
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[Publications] S.Fukatsu,S.Kubo,Y.Shiraki,and R.Ito: "Redistribution of Sb in an AtomicーLagerーDoped Silicon" Appl.Phys.Lett.58. (1991)
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[Publications] S.Fukatsu,S.Kubo,Y.Shiraki,and R.Ito: "Redistribution of deltaーdoped Sb inSi" J.Crystal Growth. (1991)
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[Publications] K.Fujita,S.Fukatsu,T.Igarashi,H.Yaguchi ,Y.Shiraki,and R.Ito: "Redization of Abrupt Interfaces in SilC_<3e> Superlaffices by Suppressing Cx Surfuce Segregation with Submonolayer of Sb" Jpn.J.Appl.Phys.29. L1981-L1983 (1990)