メカノフュージョン法による金属/セラミックス複合粒子の開発と傾斜機能材料への応用

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 01850158
• Research Institution: Miyagi National College of Technology
• Principal Investigator: 丹野 浩一 宮城工業高等専門学校, 材料工学科, 教授 (50042247)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 横山 藤平 ホソカワミクロン(株), 粉体工学研究所, 所長 ; 渡辺 龍三 東北大学, 工学部・材料加工学科, 教授 (20005341) ; 田口 收 宮城工業高等専門学校, 材料工学科, 助教授 (30042253) ; 小野 尭之 宮城工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (30005342)
• Keywords: 粒子複合化 / コーティング / メカノケミカル反応 / 複合材料 / 傾斜機能材料

Research Abstract

本研究は、機械的粒子複合法の一つであるメカノフュージョン法によって、高特性複合材料に供することのできる、高純度で均一な複覆層を持つ複合粒子の製造条件を確立することと、同粒子を利用して焼結時の熱応力破壊のない傾斜組成材料を試作することを目的とする。研究代表者らは、共同で前年度の研究期間中に高純度の複合粒子を作成する目的で雰囲気変換型メカノフュージョン装置を試作した。
本年度は、同装置により主にSUS/PSZ系に関し、いろいろな配合比率について、真空中や大気中において、処理容器の回転速度・処理時間・処理容器の水冷の有無などの条件下で系統的に実験を行った。その結果得られたおもな知見を以下に示す。
1)、複合粒子の被覆層の形成およびその融合過程は、処理途中の処定時間ごとにサンプリングしたSEM観察結果から、(1)ゲスト粒子の分散、(2)粒子相互の衝突によりホスト粒子表面へのゲスト粒子の付着・埋没、(3)摩擦熱によるゲスト粒子の再凝集、(4)再凝集粒子のホスト粒子表面への展延被覆、(5)ゲスト粒子間の融合、などの過程をとることがわかった。また、複合化の進行速度や複合程度は、処理時間や回転速度、処理容器の水冷の有無などの条件を適宜選択することによって制御できる。
2)、調整された複合粒子をそれぞれホットプレス焼結、常圧焼結、プラズマ反応焼結を行って、それらの焼結体の組織、耐末耗性、硬度、4点曲げ強度などについて検討した。その結果、複合粒子の場合には混合粉法に比較して硬度や耐摩耗性の点で優れているものの、粒界がジルコニアで占有されるため曲げ強度は低下する。3)、複合粒子を用いた傾斜組成材料については、焼結時の高熱によっても全くクラック発生のない試料を作成できることもわかり、今後の改善研究によって一層特性を向上させた材料の開発が可能となろう。

Research Products

• [Publications] 丹野 浩一: "金属粉のメカノフュージョン処理による効果" 粉砕. 33号. 81-87 (1989)
• [Publications] Kouichi TANNO: "Current Status of the Mechanofusion Process for Producing Composite Particles" KONA. 8. 74-82 (1990)
• [Publications] 丹野 浩一: "メカノフュージョン法による金属/セラミックス複合粒子の製造" 粉体工学会誌. 27. 153-158 (1990)
• [Publications] Kouichi TANNO: "Sintering and Properties of SUS316L/PSZ Composite Particles" 宮城高専研究紀要. 27. 67-74 (1991)