非手術的方法による大動脈グラフト置換術に関する研究ーPTA・形状記憶合金グラフトの開発と応用ー

1991 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 01870057
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 安田 慶秀 北海道大学, 医学部附属病院, 教授 (60125359)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 松居 喜郎 北海道大学, 医学部, 助手 (90219379) ; 合田 俊宏 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (80186874) ; 佐久間 まこと 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (70170636)
• Keywords: 形状記憶合金 / 人工血管 / 経カテ-テル移植法 / 無縫合移植 / 解離性大動脈瘤 / entry閉鎖

Research Abstract

本年度は病態モデルにおける応用実験をさらにすすめることと、前年度より経過観察中の長期移植犬から標本を得ることを行った。
1.大動脈瘤モデルに対するSAPの適用;雑種成犬を用いて、無縫合移植実験と同様な麻酔・アプロ-チにより下行大動脈に到達し、中枢側末梢側遮断下に2cmの縦切開を設け、グルタルアルデハイド処理ウマ心膜を大きくパッチとして縫着し、大動脈瘤モデルとした。瘤作成後、4時間でSAPをカテ-テル法で移植した。
SAPの移植操作はスム-スに行うことができたが、SAPの支持が瘤の部分で失われた状態になり、SAPが変形してはまりこんだ。瘤の部分より充分長いSAPを適用しなくてはならないが、5cm以上のSAPはdelivery catheterに装填因難なため、現段階では大きな大動脈瘤に対する適用は不適当である。
2.長期観察;昨年までに報告した無縫合移植実験と同様の方法で長期観察犬を3頭作成し、1年後に犠牲死させてSAP移植部を観察した。SAPの移動や移植部の瘤化は認めなかったが、全例、仮性内膜が過剰に増殖し、90〜100%の狭窄を来していた。したがって、SAP移植の安全限界は先の実験と合わせると、3〜4ヵ月程度と思われた。
以上、これまでの結果を総合すると、本SAPは瘤化が進行する前の超急性期大動脈解離に対し、解離の進展と瘤化を防ぐ目的で、大動脈造影に引き続き経カテ-テルに移植し、entryを閉鎖するという応用方法が適当である。

Research Products

• [Publications] HIDEAKI YOSHIDA,TADASHI KAKINO,MICHIO KAJITANI KAZUTOMO GOH,TOSHIHIRO GOHDS,KEISHYU YASUDA,TATSUZO TANABE: "Transcatheter Placement of an Tntnaluminal Prosthesis for the Thoracic Aorta ーANew Approach to Aortic Dissectionsー" ASAIO Transactions. 37. 272-273 (1991)
• [Publications] 安田 慶秀: "形状記憶合金人工血管とintervational cngiology techigveによる大動脈瘤の治療" 人工臓器. 20. 1317- (1991)
• [Publications] 安田 慶秀: "経カテ-テル的大動脈グラフト置換術" 治療学. 26. 82- (1991)
• [Publications] 安田 慶秀,吉田 秀明,田辺 達三: "形状記憶大動脈グラフトによる解離性大動脈瘤の治療" 外科. 54. (1991)