1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01870096
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
栗原 堅三 北海道大学, 薬学部, 教授 (00016114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 薫 花王(株), 和歌山研究所・界面科学センター, センター長
松岡 一郎 北海道大学, 薬学部, 助手 (40157269)
三宅 教尚 北海道大学, 薬学部, 助教授 (30133771)
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Keywords | 脂質2分子膜 / においセンサ- / フォスファチジルセリン / ペプチド / 嗅覚器 / 脂質組成 / 花の香 / ミント香 |
Research Abstract |
先に我々は、脂質2分子膜に各種のにおい物質を与えると膜電位変化が起こることを見いだし、脂質2分子膜がにおいセンサ-として利用できることを報告した。本年度は、まず脂質にペプチドを添加し、各種においに対する応答特異性の変化を測定した。この結果、例えばロイシルロイシンのような疎水性ペプチドを添加すると、各種においに対する応答特異性が大きく変化することを明らかにした。脂質の種類、混合比、添加するペプチドの種類を変えた9種の脂質膜を作製し、各種におい物質(14種)に対する応答特異性を系統的に調べた。この結果、ミント香、エステル系の花の香り、ヨノン系の花の香り、脂肪酸等のにおいは、それぞれ特徴的な応答パタ-ンを示すことを見いだした。すなわち、異なる脂質組成を有する膜を何種類か作製し、それぞれの膜がどのように応答するかというパタ-ンにより、においの種類が識別できることを明らかにした。においの種類は無数に存在するので、実際の系では測定すべき一群のにおいを特定し、これらのにおいを識別できる一連の脂質膜を作製すればにおいに識別が可能なことを明らかにした。 脂質2分子膜の系では、フォスファチジルセリンを添加すると、脂肪酸に対する応答が特に増大した。脂質がにおい受容に関与していることを生体系でも確かめるため、カメ嗅上皮をフォスファアチジルコリンで処理したところ、脂肪酸に対する応答が5倍程度増大した。この結果、嗅覚器においても、におい受容に脂質が重要な役割を果たしていることが明らかになった。このことは、においセンサ-の開発には、嗅覚器のセンサ-機構がよいモデルであることを示しており、今後ともにおいセンサ-の開発研究に嗅覚器のセンサ-機構が参考になりうることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] TAKAYUKI SHOJI: "Sensitivity and Transduction Mechanisms of Responses to General Odorants in Turtle Vomeronasal System." J.Gen.Physiol.98. 909-919 (1991)
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[Publications] MAKOTO KASHIWAYANAGI: "Differential Ion Dependence of Frog Olfactory Responses to Various Odorants." Comp.Biochem.Physiol.100A. 287-292 (1991)
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[Publications] SHUICHI ENOMOTO: "Liposomes Having High Sensitivity to Odorants." Biochimica et Biophysica Acta. 1062. 7-12 (1991)
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[Publications] 榎本 秀一: "味およびにおいと膜" 蛋白質核酸酵素. 36. 1779-1789 (1991)
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[Publications] MUTSUO TANIGUCHI: "Quantitative Analysis on Odor Intensity and Quality of Optical Isomers in turtle Olfactory system." Am.J.Physiol.262. R99-R104 (1992)