1991 Fiscal Year Annual Research Report
音楽認知過程研究用および音楽教育支援用ワ-クベンチシステムの開発
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01880004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
阿部 純一 北海道大学, 文学部, 助教授 (40091409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田山 忠行 北海道大学, 文学部, 助手 (50163704)
星野 悦子 上野学園大学, 短期大学部, 講師 (10219165)
赤間 清 北海道大学, 工学部, 助教授 (50126265)
桃内 佳雄 北海学園大学, 工学部, 教授 (90002237)
伊福部 達 北海道大学, 応用電気研究所, 教授 (70002102)
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Keywords | 音楽認知過程 / 記号処理的モデル / 認知科学 / 認知モデル / メロディ / リズム / 調性 / 音楽心理学 |
Research Abstract |
本研究では,人間の音楽認知過程についての研究を遂行しやすくするためのワ-クベンチシステムの開発を目的としており,同時にその作業がそのまま人間の音楽認知過程のモデル化につながるような形で進むことを目指すものであった.またさらには,そうしたモデルシステムによよって,音楽の学習・教育の過程に対する新しい視点からの研究の可能性を探ることも目標としていた. 本年度は,最終年度として主として下記の取りまとめ作業を行った. 1.調性認定過程のシミュレ-ション・モデリング:阿部による従来の成果を踏まえ,人間の調性認定過程の形式的モデル化を進めた.伝統的な,“仮説除去の過程"として調性認定過程を捉える考え方は,心理学的に妥当とは考えられず,新たに“調性スキ-マ"による漸進的予測の過程としてのモデルを構築した. 2.リズム構造認定過程のシミュレ-ション・モデリング:調性認定過程と同様に,漸進的スキ-マ適用過程としてリズム認定過程を捉え,そこに働く内的処理規則の定式化に努めた.その結果,心理学的にはまだ妥当と見なせない部分も多いが,プロトタイプ的モデルを構築することができた. 3.音楽学習過程の研究可能性に対する考察:人間の音楽スキ-マ習得の過程を探るための考察を行った.具体的には,音楽の習熟の程度の異なる被験者群を複数用意し,それらの習熟段階の差が,上記1,2のそれぞれの過程のシミュレ-ション・モデルのどのような部分の違いとして説明できるかを観察・分析した.その結果,こうしたモデルシステムを基礎にした音楽学習・教育過程の研究への新たな可能性を確認することができた.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 阿部 純一(編): "基礎心理学実験入門:感覚・知覚編(上)" Hokkaido Behavioral Science Report,Series T(Supplement). No.17. 1-62 (1991)
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[Publications] 阿部 純一・吉野 厳: "メロディ認知における調性的体制化の過程ーモデルと実験ー" 日本認知科学会第9回大会発表論文集. (1992)
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[Publications] 阿部 純一・吉野 厳: "調性認定の過程について" 日本音楽知覚認知研究会第9回例会発表論文集. (1992)
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[Publications] 星野 悦子: "メロディ再認の発達的研究" 日本心理学会第55回大会発表論文集. 212- (1991)
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[Publications] 星野 悦子: "伝統音楽の嗜好について" 音楽知覚認知研究会第8回例会研究発表論文集. 5- (1991)
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[Publications] 大村 清一郎・阿部 純一: "メロディ-認知におけるリズム情報と音高情報の相互作用" 日本心理学会第55回大会発表論文集. 211- (1991)
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[Publications] 阿部 純一・桃内 佳雄・金子 康朗・李 光五: "人間の言語情報処理" サイエンス社,