1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02041104
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Research Institution | Japan Monkey Centre |
Principal Investigator |
河合 雅雄 (財)日本モンキーセンター, 所長 (10027477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ベケレ A. アジスアベバ大学, 理学部, 講師
ワンジー C. カメルーン国立動物学研究所, 研究員
大沢 秀行 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60027498)
庄武 孝義 東京大学, 霊長類研究所, 教授 (00003103)
森 明雄 東京大学, 霊長類研究所, 助教授 (50027504)
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Keywords | ゲラダヒヒ / パスタモンキ- / マントヒヒ / ワンメイルユニット / 重層社会 / 集団遺伝学 / 生態学 / 社会学 |
Research Abstract |
今年度は、エチオピア南部の治安が悪かったため、マントヒヒと同じく重層社会をつくるゲラダヒヒをエチオピア北部で調査した。森明雄と河合雅雄は、アジスアベバの北140kmの高地平原の東の端アボリアゲル村の崖に棲むゲラダヒヒの群れ(ショワ州)を調査した。1カ月半かけて人付けし、5mの距離で個体を観察できるようになった。群れは158頭からなり、これまで研究されたセミエン国立公園と較べ、オトナのオスの割合が著しく低かった。そのためワン・メイル・ユニット当たりのオトナメスは約8頭で、これまでの2倍である。雄グル-プはオトナのオスを含まず、ワン・メイル・ユニットにはセカンド・オスもいなかった。ユニットの中にオトナオスを含まないものが1つあり、メスとこどもたちだけからなるユニットとして続いた。以上から、ゲラダヒヒのワン・メイル・ユニットを成立させる機構のうち、オス間の競合を取り去った場合を検討でき、その条件下の群れの社会構造の特徴を検討した。 庄武孝義は、これまで血液サンプルが得られていなかった、アジスアベバの北800kmのセミエン国立公園で、ゲラダヒヒの捕獲を行い、43頭の血液サンプルを得た。サンプルは、直ちにアジスアベバ大学の生物学教室に運び、赤血球、白血球、血漿に分離し、凍結状態で持ち帰った。ショワ州のゲラダヒヒとセミエンのものとは亜種が違うとされるが、今回のサンプルと、以前ショワ州で庄武が得た血液タンパク質の遺伝的変異の結果とを比較することで、ゲラダヒヒの地域集団の遺伝学的違いを検討する。 大沢秀行は、サハラ南縁でパタスモンキ-の社会行動、繁殖行動を研究した。群れ外オスによる盗み交尾およびその直後に加えられるハレム・オスによる精子混入、それに対する盗み交尾オスによる妨害等、繁殖をめぐるオス間の競争を見た。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] A.Mori: "A new population of gelada baboons and distribution of baboon species in Ethiopia" Primatology Today,Ehara et al.(eds.),Elsevier Science Publishers. 73-76 (1991)
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[Publications] 森 明雄: "ゲラダヒヒの新しいポピュレ-ションーーエチオピア南部におけるヒヒ類の分布調査(前)、(後)" モンキ-. 前35ー5 後35ー6. 5-12 (1992 1992)
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[Publications] T.Iwamoto: "Activity pforile of hamadryas baboons in the Bale region and the similarity to conspecifics in Awash,Ethiopia." Primates.
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[Publications] 庄武 孝義,野澤 謙: "「遺伝的変異からみた哺乳類の集団構造」" 「現代の哺乳類学」朝日 稔、川道 武男編、朝倉書店、東京. 45-64 (1992)
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[Publications] T.Shotake: "Genetic variations within and between anubis,yellow,and chacma baboons." Primatology Today,Ehara et al.(eds.),Elsevier Science Publisher. 607-608 (1991)
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[Publications] H.Ohsawa: "Take-over of a harem and the subsequent promiscuity in patas monkeys." Primatology Today,Ehara et al.(eds.),Elsevier Science Publisher. 221-224 (1991)
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[Publications] 河合 雅雄: "人間の由来(上)、(下)" 小学館, 413-438 (1992)