1991 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・太平洋諸国の都市住民の健康と生存の比較生態学研究
Project/Area Number |
02044045
|
Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 継美 東京大学, 医学部(医), 教授 (80009894)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CARAGAY Rube フィリピン大学, 医学部, 助教授
SIMET Jacob パプアニューギニア研究所, 所長
KHAIRUDDIN Y マラヤ大学, 医学部, 教授
金 潤信 漢陽大学, 医学部, 副教授
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (00183731)
久田 満 東京大学, 医学部, 助手 (50211503)
甲斐 一郎 帝京大学, 医学部, 講師 (30126023)
丸井 英二 東京大学, 留学生センター, 教授 (30111545)
大井 玄 東京大学, 医学部, 教授 (70114410)
園田 恭一 東京大学, 医学部, 教授 (20009898)
大塚 柳太郎 東京大学, 医学部, 助教授 (60010071)
|
Keywords | 都市化 / 健康指標 / 妊婦 / 東大式自記健康調査票(THI) / 毛髪水銀濃度 / アジア・南太平洋地域 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度中に収集されたアジア・南太平洋地域の5つの首都に居住する妊婦の東大式健康調査票(The Todai HealthIndex:THI)に対する回答と毛髪中の水銀濃度に関する分析を行った。また、一部の対象については資料の補充収集も行い、最終的に東京群54名、マニラ群50名、クアラルンプル群50名、ソウル群50名、ポ-トモレスピ-群30名、合計234名のデ-タが分析の対象となった。 無回答項目のみられたポ-トモレスピ-群を除く各対象群のTHIの回答を分析した結果、以下の点が明かとなった。即ち、マニラの妊婦に呼吸器に関する訴えが多く、東京やソウルの妊婦には眼や皮膚についての訴えが多かった。またソウルの妊婦には口腔や肛門に関する自覚症状も多くみられ、各対象都市の生活環境の違いが自覚症状の出現にある程度関連していることが示唆された。「パ-ソナリティ」に関しては、マニラやクアラルンプルの妊婦に虚構性が、また東京の妊婦に神経質傾向が比較的強くみられ、国民性の違いが反映されたものと考えられた。THIに関連する要因として、年齢、妊娠期間、同居家族数、および収入が見い出されたが、関連パタ-ンには共通性は乏しく、むしろ異質性が浮き彫りにされた。 一方、毛髪中の水銀濃度に関しては、最も高い値を示したのが東京群で平均3.2μg/g(±1.6)、続いてクアラルンプル群とポ-トモレスビ-群がそれぞれ平均1.6μg/g(±0.7)と1.5μg/g(±0.8)であった。最も低かったのはマニラ群およびソウル群で、ともに平均0.7μg/g(±0.5)であった。一般の健常者における休内の水銀は、魚の摂取による寄与が最も大きいことが知られているが、各群における平均水銀濃度の違いは、それぞれの国の食習慣の違いが反映されたものと推察された。
|
Research Products
(13 results)
-
[Publications] Suzuki,T.and Ohtsuka,R.(eds).: "Health Impact of Rapid Industrialization and Urbanization in Asia and the Pacific and its Public Health Activities" Journal of Human Ergology. 19(2). 99-251 (1990)
-
[Publications] Yoshinaga,J.,Suzuki,T.and Ohtsuka,R.et al.: "Carbon and nitrogen isotopic characterization for Papua New Guinea foods" Ecology of Food and Nutrition. 26. 17-25 (1991)
-
[Publications] Yoshinaga,J.,Suzuki,T.and Ohtsuka,R.et al.: "Dietary selenium intake of the Gidra,Papua New Guinea" Ecology of Food and Nutrition. 26. 27-36 (1991)
-
[Publications] 大塚 柳太郎: "途上国における環境適応の変容" 第7回よこはま21世紀フォ-ラム報告集. 73-82 (1991)
-
[Publications] 大塚 柳太郎: "ニュ-ギニア地域生態系におけるヒトの適応機構" 日本熱帯医学会雑誌. 19. 33-34 (1991)
-
[Publications] 大塚 柳太郎: "都市の人類生態学研究" 民族衛生. 57付録. 32-33 (1991)
-
[Publications] 大塚 柳太郎: "パプアニュ-ギニアにおける食生活と健康" 保健の科学. 34(2). 110-114 (1992)
-
[Publications] Sonoda,K.: "Urbanization and new health indicators" Journal of Human Ergology. 19(2). 233-242 (1990)
-
[Publications] Kai,I.,Ohi,G.and Hisata,M.et al.: "Quality of life:A possible health index for the elderly" Asia-Pacific Journal of Public Health.
-
[Publications] 鈴木 継美,大塚 柳太郎,柏崎 浩(著): "人類生態学" 東京大学出版会, 231 (1990)
-
[Publications] 鈴木 継美(編): "食と栄養の生態学" 放送大学教育振興会, 165 (1991)
-
[Publications] 鈴木 継美: "パプアニュ-ギニアの食生活" 中央公論社, 239 (1991)
-
[Publications] 中村 英夫編(大塚 柳太郎分担執筆): "都市環境" ぎょうせい,