1991 Fiscal Year Annual Research Report
心筋の興奮収縮連関に関する研究ー摘出潅流心における多核種NMRによる検討
Project/Area Number |
02045021
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 通敏 大阪大学, 医学部附属病院, 教授 (30028401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
EDUARD Marba ジョンズ, ホプキンス大学・医学部, 準教授
WEISFELDT My ジョンズ, ホプキンス大学・医学部, 教授
武田 裕 大阪大学, 医学部附属病院, 助教授 (20127252)
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Keywords | 細胞内カルシウム / 再潅流障害 / 核磁気共鳴法 |
Research Abstract |
平成3年度においては、虚血・再潅流に伴い生じる細胞内カルシウム・オ-バ-ロ-ドの機序について検討を行った。我々は、短時間の虚血後、心筋を再潅流した際に生じる可逆性の収縮性低下(いわゆる、stunned myocardium)の発生機序として、再潅流に伴って生じる一過性の細胞内カルシウムのオ-バ-ロ-ドが重要であることを明らかにし、この一過性のカルシウム・オ-バ-ロ-ドが、細胞膜に存在する、ナトリウム/カルシウム交換機構によりもたらされている可能性について指摘してきた。今回、この仮説を検証するため、高ナトリウム溶液による再潅流が再潅流時の細胞内外のナトリウム濃度勾配を調節し、ナトリウム/カルシウシウム交換を逆向きにすることにより、収縮性低下が軽減され得るか検討した。その結果、高ナトリウム溶液による再潅流が再潅流後の収縮教能の低下を防止すること、しかし、高ナトリウム溶液と同等の高浸透圧溶液(蔗糖溶液)、あるいは、高ナトリウム溶液と同等のイオン強度溶液(塩化コリン溶液)では、高ナトリウム溶液による再潅流で認められたような収縮性低下に対する防止効果が認められたような収縮性低下に対する防止効果が認められないことを明らかにした。以上の結果は、高ナトリウム溶液による再潅流の防止効果がナトリウムに特異的であること、すなわち、再潅流に伴うカルシウム・オ-バ-ロ-ドがナトリウム/カルシウム交換機構によりもたらされていることを強く示唆し、従来の仮説の妥当性を明らかにし得た。なお、本研究は、現在ジョンズ・ホプキンス大学医学部に滞在中の楠岡英雄(大阪大学助手休職中・ジョンズ・ホプキンス大学助教授)の協力を得て行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hideo Kusuoka: "Pathophysiology and patho genesis of Contractile Failure in stunned Myocardium" Japanese Circulation Journal. 55. 874-884 (1991)
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[Publications] Yukihiro Koretsune: "Mechanisum of ischemic contractile failure:inexcitability,metabolite accumulation,or vascular collapse?" Circulation Research. 68. 255-262 (1991)