新疆ウイグル自治区少数民族の教育文化に関する基礎的研究

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 02045030
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 丸山 孝一 九州大学, 教育学部, 教授 (80037035)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 鐘 啓泉 華東師範大学, 比較教育学研究所, 教授 ; 額尓徳尼 新疆師範大学, 教育学系, 副教授 ; 胡 〓 新疆師範大学, 教育学系, 副教授 ; 馬 俊民 新疆師範大学, 教育学系, 教授 ; 小鳥居 伸介 九州大学, 教育学部, 助手 (80215293) ; 望田 研吾 九州大学, 教育学部, 助教授 (70037050) ; 権藤 与志夫 九州大学, 教育学部, 教授 (40037031)
• Keywords: 少数民族 / 民族教育 / 価値意識 / ウイグル族 / カザフ族 / シボ族 / 新疆ウイグル自治区 / 数学学力

Research Abstract

先方との連絡後,9月5日に文化人類学班が,翌日比較教育学班がそれぞれ出発した。両班とも予定通り、10月9日に帰国した。
文化人類学班は、参与観察,面接,映像記録の方法によって、ウルムチ市のウイグル族,イリ地区のカザフ族,シボ族の民族誌的調査を行なった。ウイグル族の歌舞,カザフ族の馬術,シボ族の洋弓という,それぞれの文化遺産の伝承過程を分析し、それらの民族教育が、家庭および学校において日常的におこなわれていることがわかった。
比較教育学班はウルムチ,イニン,カシュガルの小学校,中学校,計10校において、生徒,教師,父母に対して、IEAの国際学力調査と同一の問題を用いた数学学力調査,及び道徳意識調査を実施した。数学学力調査は本年度は予備調査であったが,数学学力において漢民族と小数民族との間に顕著な格差が存在することが明らかとなった。道徳意識調査では中国における政治状況の変化に伴い、国家志向が強くなっていることが示された。
両班とも新疆師範大学の全面的協力のもとに,研究分担者の積極的協力を得て、大学間協力の実を挙げることができた。研究成果の一部は別掲の印刷物の他,公開講座「シルクロ-ドの民族と文化」およびシンポジウム「シクルロ-ドの人と文化」,シンポジウム「文明のクロスロ-ド・博多ー海の道と陸の道ー」を開催して発表した。反省点としては,現地での調査諸経費について、先方との事前の打ち合せが不十分であったため,当方が予定した経費を超過したことが挙げられる。この点について,次年度は十分な打ち合せが必要である。

Research Products

• [Publications] 丸山 孝一: "「マイノリティ教育民族誌方法論(1)」" 『九州大学比較教育文化研究施設紀要』第42号.
• [Publications] 丸山 孝一: "「少数民族の文化とその子どもたち」" 考藤与志夫編著『ウイグルーその人びとと文化』.
• [Publications] 権藤 与志夫: "「中国人の価値観ー新疆ウイグル自治区の漢族とウイグル族・カザフ族ー」" 権藤与志夫編著『ウイグルーその人びとと文化』.
• [Publications] 権藤 与志夫(編著): "『ウイグルーその人びとと文化』" 朝日新聞社,