1990 Fiscal Year Annual Research Report
ファンデルワ-ルス積層人工物質における新物性の探索とその応用に関する研究
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02102002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小間 篤 東京大学, 理学部, 教授 (00010950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 啓司 東京大学, 理学部, 助手 (40223482)
多田 博一 東京大学, 理学部, 助手 (40216974)
斉木 幸一朗 東京大学, 理学部, 講師 (70143394)
青木 秀夫 東京大学, 理学部, 助教授 (50114351)
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Keywords | ファンデルワ-ルスエピタキシ- / ヘテロ構造 / 積層人工物質 / 層状物質 / 有機超薄膜 / STM / 原子モアレ縞 / RHEED振動 |
Research Abstract |
本年度においては以下のような成果が得られた。まず走査トンネル顕微鏡により、層状物質ヘテロ構造の直接観察を行い、明瞭な原子像の観察に成功した。特記すべきことは、規則正しく並んだ原子像に加え、広範囲にわたって秩序を有する変調構造が観測されたことで、その詳しい解析から、我々が目指しているファンデルワ-ルス系ヘテロ構造においては、格子不整合の大きな基板上に成長するエピタキシャル膜の格子間隔は、界面の第1層から0.1%以内で自分自身の格子間隔に一致したものになっており、基板の結晶方位とは0.1°以内で方位をそろえてエピタキシャル成長している事実が証明された。この変調構造の観測は、STM像が意味するものが何であるかを決める重要な手がかりにもなると思われる。次に層状物質のファンデルワ-ルス・エピタキシャル成長時におけるRHEED振動の観察に初めて成功し、1層ごとの成長を確認する一方、その解析から成長膜の多型に関する知見を得た。この成果は,膜厚制御、多型制御の点で今後有用に活用できよう。また、多くの有機結晶がファンデルワ-ルス分子結晶である事実に注目し、無機物質で培ったファンデルワ-ルス・エピタキシャル成長技術を駆使して、フタロシアニン、コロネン等の単結晶有機超薄膜の成長を試み、良質のヘテロ膜を得ることに成功した。今後これを用いて非線形光学効果や低次元磁性等、有機超薄膜が示すと期待される新物性の解明を開始する予定である。 一方理論グル-プでは、結晶成長のダイナミックスに対するモンテ・カルロ計算機実験、結晶構造の分子動力学的、単層の電子構造に対するSTM像解析、低次元磁性、多層の電子構造に関する2バンド量子ホ-ル効果、2バンド超伝導、超伝導超格子などの理論を開発した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Shimada,H.Yamamoto,K.Saiki,and A.Koma: "RHEED Intensity Dscillation during Epitaxial Growth of Layered Materials" Jpn.J.Appl.Phys.29. L2096-L2098 (1990)
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[Publications] A.Koma: "Heteroepitaxy between LatticeーMismatched Materials with van der Waals Interactions" Mat.Res.Soc.Symp.Proc.198. 105-110 (1990)
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[Publications] F.S.Ohuchi,B.A.Parkinson,K.Ueno,and A.Koma: "van der Waals Epitaxial Growth and Characterization of MoSe_2 Thin Films on SnS_2" J.Appl.Phys.68. 2168-2175 (1990)
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[Publications] B.A.Parkinson,F.S.Ohuchi,K.Ueno,and A.Koma: "Periodic Lattice Distortions as a Result of Lattice Mismatch in Epitaxial Films in TwoーDimentional Materials" Appl.Phys.Leff.58. 472-474 (1991)
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[Publications] H.Tada,K.Saiki,and A.Koma: "Preparation and Characterization of VanadylーPhthalocyanine Ultrathin Films Grown on KBr and KCl by Molecular Beam Epitaxy" Jpn.J.Appl.Phys.30. L306-L308 (1991)
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[Publications] H.Aoki and K.Kuroki: "Superconductivity in a TwoーBand Hubbard Model" Phys.Rev.B. 42. 2125-2136 (1990)