1992 Fiscal Year Annual Research Report
糖タンパク質糖鎖に含まれる情報の解析とその生理活性発現のメカニズムの研究
Project/Area Number |
02102007
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
木幡 陽 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30030852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 純子 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (10159460)
遠藤 玉夫 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30168827)
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Keywords | 糖タンパク質ホルモン / エリスロポエチン / 糖タンパク質 / N__--結合糖鎖 / O__--結合糖鎖 / Tamm-Horsfallタンパク質 / 受精 / 接着因子 |
Research Abstract |
(1)hCGの糖鎖の機能:hCGとhLHはアミノ酸組成の相同性が高く,標的細胞の同一レセプターと反応するにもかゝわらず,糖鎖構造がかなり異っている。そこで情報伝達に関与する糖鎖が兩者で異なる可能性もあるため,hLHのシアル酸の重要性を調べた。hLHをシアリダーゼ処理すると,MA-10細胞への結合は変らないが,CAMPの産生能が著しく低下した。そこでシアル酸残基の情報伝達に関与するメカニズムを調べたところ,ホルモンのシアル酸が直接標的細胞のレセプター又はその近傍と相互作用して情報伝達に関与していることが判明した。(2)ヒトエリスロポエチン(EPO)の糖鎖の機能:EPOが4本鎖複合型糖鎖を持つことがそのin vivoのホルモン活性発現に必須であることが,我々の研究で明らかになっている。そこで2本鎖を持つEPO(EPO-bi)と4本鎖を持つもの(EPO)を糸画精製して ^<125>Iで標識し,ラットの静注して調べた結果12時間後の血中濃度がEPO-biでEPOの1/10に低下していた。その機構を調べ,EPO-biがプロテアーゼで速やかに分解され尿に排泄されることが判明した。(3)免疫応答におけるTamm-Horsfallタンパク質(THGP)の糖鎖の役割:これまでの研究で抗原特異的T細胞増殖反応をTHGPが抑制する機構がTHGPの糖鎖によるIL-1βのT細胞への作用へのハプテン阻害であることが判明した。そこでこの糖鎖の構造を調べたところ,硫酸基とβ-N-アセチルガラクトサミン残基を非還元末端に持つ複合型糖鎖であることが判明した。(4)受精と糖鎖:未受精卵透明帯のO-結合糖鎖の全構造を調べてGalβ1→3GalNAc及びGlc-NAcβ1→3GalNAcを母核とする一連の糖鎖がそれぞれ76%と6%で,残りがGalNAcであることを明らかにした。これらのうち約16%が非還元末端にGlcNAcβ1→残基を持つことから,精子のβ-ガラクトシダーゼが受精初期反応に果している重要性が改めて示唆された。
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