1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02301005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱井 修 東京大学, 文学部, 教授 (00012360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 敏男 茨城大学, 教養部, 助教授 (10198161)
高幣 秀知 北海道大学, 文学部, 助教授 (00146995)
山田 忠彰 日本女子大学, 人間社会学部, 助教授 (10220386)
湯浅 弘 東京大学, 文学部, 助手 (10230608)
関根 清三 東京大学, 文学部, 助教授 (90179341)
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Keywords | 自由 / ヘ-ゲル / 自己 / 他者 / 共同存在論 / ヴィ-コ / 異文化 / キリスト教 |
Research Abstract |
研究計画の初年度に当たる今年度、本研究は、自由論の基本的な問題点を洗い出すために、各個別分科会を中心に従来の代表的な自由論の学説的な整理を行い、その成果を全体研究会で検討するという方式で研究が進められた。全体研究会で報告・討議が重ねられた具体的な研究成果としては、次のようなものが挙げられる。 1.近代倫理学的自由論分科会の山田が、認識の問題、社会理論と絡めながらヘ-ゲルにおける自由論の現代的意義についての報告を行った。これについては、現代の共同存在論、社会存在論の立場から強い関心が寄せられ、多様性を持つヘ-ゲル哲学、とりわけ、その自由論が現代に於てどの様に生かされるべきかに関する活発な討議が行われた。 2.現代倫理学的自由論分科会に属する熊野が、自己と他者という倫理学にとって根本的な問題に定位しながら、社会に於て個人の持つ自由の意義、また、他者との関係の中で個人の自由の及びうる範囲等に関する報告を行った。現代の社会存在論を前提とした熊野のこの自由論は、その説得力は認められながらも、他方、自己と他者とをあまりにも連続的に捉えすぎているとの批判が提出された。この論点は、研究会出席者によって今後尚検討されるべき重要論点として確認された。 3.研究協力者の石村が、古代中世的自由論、キリスト教的自由論、近代倫理学的自由論と連関させる仕方で、特異な哲学者ヴィ-コの自由論の報告を行った。これについては、現代社会とは異質の社会に於ける自由のあり方が問題とされた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 濱井 修: "ポパ-哲学の魅力" ポパ-レタ-. 2. (1990)
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[Publications] 濱井 修: "ポパ-哲学の問題点" ポパ-レタ-. 3. (1990)
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[Publications] 関根 清三: "ニヒリストとしてのコ-ヘレス(下)" 倫理学紀要(東京大学文学部倫理学研究室編). 6輯. 1-26 (1990)
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[Publications] 湯浅 弘: "『啓蒙の弁証法』への一視角" 紀要(東京大学文学部倫理学研究室編). 6輯. 27-46 (1990)
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[Publications] 細谷 実: "死の哲学的諸問題とフォイエルバッハ" 群馬女子短期大学紀要. 17. 83-96 (1990)
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[Publications] 川本 隆史: "論理・風景・生命" 理想. 646. 93-101 (1900)