1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02301017
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大山 正 日本大学, 文理学部, 教授 (50008942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩 札幌医科大学, 講師 (20136956)
河嶋 孝 日本大学, 農獣医学部, 教授 (50059359)
川崎 恵里子 川村学園女子大学, 文学部, 助教授 (80183284)
御領 謙 千葉大学, 文学部, 教授 (70008960)
鷲見 成正 慶応義塾大学, 経済学部, 教授 (00051285)
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Keywords | 日常事物の認知 / 時間知覚 / 運動の知覚 / スクリプト / 目撃証言 / 動物の認知過程 / 乱数生成 / 痴呆 |
Research Abstract |
日常事池・事象の認知過程は近年まであまり取り上げられなかったテーマである。本研究では文字、言葉、物語、顔、人物像、事変等さまざまな領域で扱われてきた日常事物・事象の認知に関する研究を4つの研究班を設け、総合的に研究を行った。知覚班では、比較的基礎的なテーマを取り上げ、日常的問題に結びつけられるような研究が行われた。そこでは、立体の知覚における運動の効果、速度の知覚における垂直一水平方向と中心視・周辺視の効果、拡大・縮小する時間分割が時間知覚に及ぼす効果、知覚と記憶における大きさの感覚尺度の差異、継時的に呈示される視覚刺激による主観的郭の統合過程、等について検討がなされた。認知班では文字、文章、人物、表情という日常的対象の認知を取り上げた。そこでは、プライミング効果を用いた漢字の形態と英語の綴りと機能の比較、文の読みと再認の過程におけるスクリプトの効果、目撃者の証言における自動車や人物の認知の特徴、コンピュータ画面上に線画で示した表情に対する情動、等に関する研究が行われた。比較心理班では動物における日常事物・事象の認知の問題を扱い、動物の認知過程を人間と比較することを目的とした。そこでは、セキセイインコにおける等価関係の認知の対称性と推移性、サルとハトにおける人の映像の正立・倒立の弁別訓練成果の転移、等について検討された。発達班では幼児期から老年期における認知機能の発達的研究を目的とした。そこでは4-6歳児の2物体の衝突運動に対する物体の重さの判断、幼児期から老年期までの乱数生成におけるランダム性と反応速度の比較、痴呆度検査を用いた老年者の知的機能の経年的変化の特徴、等について検討がなされた。いずれの研究も個々に成果があがり有意義なものであったが、総合的にも異なる領域間における共通問題を発見するための第1段階として十分な成果が得られた。
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[Publications] 鷲見 成正: "新たな段階を迎えた運動視研究" 心理学評論. 34. 1-4 (1991)
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[Publications] Jitsumori,M & Matsuzawa,T: "Picture perception in monkies and prgions:Transfer of rightside-up rersus upside-down discrimination of photographic ofjects across conceptual categories" Primates. 32. 473-482 (1991)
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[Publications] 中村 浩: "2物体の衝突事象知覚研究における力学的枠組みの有効性" 心理学評論. 34. 213-235 (1991)
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[Publications] Yamada,H: "Visual information for categorizing facial expression of emotion(in printing)" Applied Cognitive Psychology. 7. (1993)
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[Publications] 厳島 行雄: "目撃者証言の心理学的考察I 自民党本部放火事件におけるY証書の信用性をめぐって:内容分析の試み" 日本大学人文科学研究所研究紀要. 44. 93-127 (1992)
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[Publications] 鷲見 成正: "運動による重なりと立体視" 3D映像. 5. 13-20 (1991)