1991 Fiscal Year Annual Research Report
都市化社会の進展にともなう生活構造の変容と“きずな"のダイナミックス
Project/Area Number |
02301019
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
橋本 仁司 早稲田大学, 教育学部, 教授 (60063319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 立男 北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (00192732)
林 春男 広島大学, 総合科学部, 助教授 (20164949)
田中 重好 弘前大学, 人文学部, 助教授 (50155131)
高田 利武 群馬大学, 教育学部, 助教授 (20008189)
東 清和 早稲田大学, 教育学部, 教授 (90063560)
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Keywords | 都市化社会 / 生活構造 / きずな / 非行 / 給食 / 範疇関係 / 家庭崩壊 / 対人葛藤 |
Research Abstract |
目的:都市化社会の進展は近代化の過程の進行による。テクノロジ-の進歩、経済システムの変貌、政治の肥大化の三つの変数が働いている。 近代化の過程の帰結はなお分明ではないが、渦中にあって、事態への洞察は是非とも入手すべき認識である。この認識の確保が研究目的である。 方法:われわれ研究者も、この過程進行の唯中にあるから、方法論的に研究者の足元を十分に固めて、観察対象である事態を分析できる立場を先ず確保する必要があった。生活人としてのわれわれ自身が日頃、見聞する、あるいは体験する事象の中に、上記の変数の産出したものといえる、一連の実態を伝える資料の収集を行なった。若者たちの資料は一方では学校(小学校・高等学校・短期大学)の問題群の中から、また他方、対非行少年カウンセリング現場から、中年層としては、企業組織の処遇問題から、高年層は老人ホ-ムその場の問題から引きだした。 結論:都市化社会の進展はテクノロジ-の進歩による。後戻りの効かない、一方的な、不可逆的社会変化である。それ故、現行の都市化の進捗によって変貌した生活構造の中では、長らく、人びとの抱懐していた旧の思考様式や人間関係のとらえ方は、その有効度を大幅に減じている。 これは人々の日常生活における数々の決断(意思決定)の常套手段であった、生活慣習や伝統が機能し得ない事態の招来を意味している。しかも、人びとはこの、当の招来事態を、認知や人間関係把握の新様式への変革のための、唯一の機会として逆用する他はない。逆用の手がかりは、都市化社会の進展の生んだ人々の価値、行動、嗜好の多様化であり、日常生活における選択の幅や選択の機会の増加である。このような機会の逆用のみが、新しい生活様式を積極的に誘導すると予想される。加えて現に進行中の家庭崩壊、環境破壊、教育歪曲その他の抜本的な是正にも、人びとは現実把握の為の視点変革を要求されていることを銘記したい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 橋本 仁司: "都市化社会の進展にともなう生活構造の変貌ときずなの変容ー社会心理学の立場からー" 社会科学討究. 109. (1992)
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[Publications] 東 清和: "ベムのジェンダ-スキ-マ理論の成立過程" 社会科学討究. 107. 257-272 (1991)
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[Publications] 高田 利武: "学校給食と児童・生徒の人間関係" 社会科学討究. 109. (1992)
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[Publications] 林 春男: "都市化社会の進展に伴う人間関係の変容ー3種類の関係モデルの概略" 社会科学討究. 109. (1992)
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[Publications] 松本 芳之: "職場組織におけるきずなの様態としてのポスト・コンフリクトー社会的紛争からみた職場における昇進過程ー" 社会科学討究. 109. (1992)
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[Publications] 藤森 立男: "女子大生にみる対人葛藤の解決過程に関する基礎的研究" 社会科学討究. 109. (1992)