1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02301078
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Research Institution | Kyoto Univeristy |
Principal Investigator |
村松 岐夫 京都大学, 法学部, 教授 (80025147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 国臣 東北大学, 法学部, 助教授 (40171813)
大山 耕輔 筑波大学, 社会科学系, 講師 (40185400)
武重 雅文 香川大学, 教育学部, 助教授 (60154994)
樋渡 由美 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (70208635)
的場 敏博 京都大学, 法学部, 教授 (50135505)
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Keywords | 戦後日本政治 / 占領 / 国際関係 / 政治経済学 / 1950年代 / 1955年体制 / 戦後和解 / 逆コ-ス改革 |
Research Abstract |
本研究は、ここで「占領以後」の名付ける占領終了後の約10年間の戦後政治の分析を目的とした。この時期の日本政治については戦後第一期の政治学者による同時代的な研究が行われた後は、今日まで等閑視されてきた。また、従来の研究は、(1)この時期の安全保障・教育・治安問題など対立の深い争点に研究に焦点をあてる傾向があったこと、(2)国際経済環境に関する考察が不十分であった点で弱点があった。そこで本研究では、新しい政治経済学的な視点から、国際経済環境と国内政策の関連や従来政治学において取り上げられてこなかった課題を取り上げて占領以後の政治の総合的な把握を試みた。その結果、多くの知見をえることが出来た。第一に、占領以後の期間に、時々の激しい対立にもかかわらず、保革・労使間には徐々に「戦後和解」が成立し、日本社会が経済活動に専念する条件が整えられていたことが分かった。減税政策や産業政策にその合意の構造を見ることが出来る。第二に、外交面では、この時期、アメリカの率いる国際自由貿易主義への参加が主要課題であるが、日本は、吉田政権において対米「従属的」な姿勢から自由貿易を推進しようとし、占領以後の後半におていは鳩山・岸(ことに岸)政権において自主外交の試みをするが挫折する。占領以後は外交における変化を模索した時代である。第三に、いわゆる「逆コ-ス改革」についての修正主義的な見解が本研究から提出されている。逆コ-ス改革は反動的で集権的また戦前復帰的な改革であったとされてきたが、本研究からは、戦後政治が早い段階で多元主義的な政治構造になり、中央政府の思うようになる改革はすでに出来なかったとされている。総じて、戦後政治が戦前とは異なる制度と国際環境の下に新しい合意を形成する政治過程をつくりはじめていた面が強調される。本研究は岩波書店より政治学年報として公刊される。
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