1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02301102
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
鈴木 善次 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10035165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成定 薫 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50110466)
松永 俊男 桃山学院大学, 文学部, 教授 (60122181)
松尾 幸季 同志社大学, 工学部, 助教授 (20121600)
江上 生子 東京工業大学, 工学部, 助手 (80016493)
横山 輝雄 南山大学, 文学部, 助教授 (80148303)
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Keywords | 進化論 / 科学史 / 比較文化論 / 受容史 |
Research Abstract |
研究の第二年目として,昨年度と同様,各分担者において各分担テ-マに関連する文献の収集,検討が行われた。また,東京,筑波において班会議を2回開催し,各分担者間の意見・情報・資料の交換が行われた。研究の途中経過として以下にいくつかのものを紹介する。松永俊男は19世紀イギリスの一地方紙上の進化論論争をとりあげ,当時のイギリスにおけるダ-ウィニズム是非の論争を紹介,また溝口元と協力してビ-グル号来日神話の成立と伝播を検討。その溝口は日本の動物学界での進化論受容を渡瀬庄三郎,谷津直秀,駒井卓の著作を通して分析。時に実験生物学の導入と分類学・系統学の衰退,進化研究の低調さの関係を考察した。松尾幸季は英国教の牧師T.S.バ-クスの科学と宗教,特に進化論への反応を研究,彼の進化論への本格的言及の時期と,それがスペンサ-の著作に対してのものであることを明らかにした。江上生子はロシアの植物形態学,細胞学研究者V.I.ベリャ-エフについて研究し,彼が1890年代に行った始原的な生物に関する見解を1920年代のオパ-リンによる生命の起源論との関連で考察した。成定薫は文化人類学者M.ダグラスの提唱しているグリッド・グル-プ理論を用いて,各国のダ-ウィニズム受容パタ-ンを分析した。蛭田庸代はスペインにおけるダ-ウィニズムの紹介書のほん訳を行い,彼の地における進化論受容パタ-ンを分析。このように,各分担者において,個々のテ-マでの研究に一定の成果が得られ,昨年度の成果とあわせ,主テ-マである比較研究への基礎が得られた。来年度は最終年にあたるので,それらをふまえて総合考察を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 八耳 俊文: "ダニエル・マッゴウァンと日本" 地学雑誌. 100. 177-177 (1991)
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[Publications] 小林 傳司: "生物学におけるアナロジ-" 数理科学. 343. 14-18 (1992)
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[Publications] 鈴木 善次,松原 洋子,坂野 徹: "優生学史研究の動向(1)" 科学史研究. 30. 225-233 (1991)
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[Publications] 斉藤 光: "明治10年代の人爲淘汰論争について" 京都精華大学紀要. 2. 104-119 (1991)
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[Publications] 鈴木 善次: "講座進化(2)進化思想と優生学" 東京大学出版会, 235 (1991)
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[Publications] 横山 輝雄: "講座進化(2)進化理論と社会" 東京大学出版会, 235 (1991)