1992 Fiscal Year Annual Research Report
有明海干潟域のムツゴロウ及び干潟生物の分布と環境変化
Project/Area Number |
02302082
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
渡辺 潔 佐賀大学, 農学部, 教授 (30039309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 康男 佐賀県有明水産振興センター, 所長
飯盛 喜代春 西九州大学, 家政学部, 教授 (50039244)
石橋 信義 佐賀大学, 農学部, 教授 (30039333)
瀬口 昌洋 佐賀大学, 農学部, 助教授 (20093974)
加藤 治 佐賀大学, 農学部, 教授 (40038295)
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Keywords | 動粘性係数 / 海底境界層 / 底泥 / 光散乱分析法 / リン / 線虫 / 窒素 / ムツゴロウ |
Research Abstract |
平成4年度の研究実施計画に従って行われた研究の実績概要は、次のように要約される。 1.昇降式三次元電磁流速計により、浅海干潟域における海底付近の詳細な流速プロフィルが計測された。その結果、海底付近の流速プロフィルは、理論的に求められた振動流のそれと全般的に類似するものであった。さらに、海底付近の流れの動粘性係数は0.005cm^<22>/sec前後であり、また境界層の厚さは15cm程度であることが確認された。 2.有明海奥部干潟域において底泥中の温度計測が、ほぼ一年間にわたって行われた。その結果、潟面及びその近辺の温度の時間的変化は非常に大きいが、深さ30cm付近のそれは非常に小さく、ほぼ一定であること、また潟土中の温度は日射量と浸水状態によって大きく影響され、特に日射量のピーク時刻と潟面の浸水時刻とほぼ一到するとき、潟面及びその近辺の温度の時間的変動は大きく抑制されること、さらには潟上の平均的な温度伝導率は4×10^<-3>cm^2/sec前後であることなどが、明らかにされた。 3.海水中の微量リン酸イオンの光散乱分析法が、分析化学分野において初めて開発された。本法は、溶媒抽出や予備濃縮を必要とせず、簡便で迅速にppbレベルの分析を可能とするものであった。一方、有明海奥部におけるリン及び窒素化合物の行動と環境要素との関連性が明らかにされた。特に対象海域では、降雨の影響が極めて大であった。 4.有明海奥部のムツゴロウ保護地と非保護地において、潟土中の線虫の個体数、種類、垂直分布、種多様性などの線虫相が明らかにされた。また、これらの線虫相とムツゴロウの生息環境との関言性が把握された。さらに、ムツゴロウの干潟上への出現やアゲマキ稚貝の移動、定着と環境要素との関連性が明らかにされた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 瀬口 昌洋: "有明海奥部浅海域における底泥の巻き上げ" 農業土木学会論文集. 157. 65-74 (1992)
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[Publications] 瀬口 昌洋: "有明海奥部干潟域における底泥中の温度分布" 佐賀大学農学部彙報. 74. 1-6 (1993)
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[Publications] Masaaki tabata: "Light Scatering Method for the Determination of Trace Amounts Phosphate Using a Cationic Watea-soluble Porphrin" Analyst. 117. 1185-1190 (1992)
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[Publications] 中添 勝代: "有明海における化学成分の行動(第5報)降雨による濃度変化" 浅海干潟総合実験施設研究紀要. 6. 1-8 (1992)
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[Publications] 古賀 秀昭: "ムツゴロウの干潟上への出現と環境要素との関係" 浅海干潟総合実験施設研究紀要. 6. 27-32 (1992)
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[Publications] 松本 光秀: "有明海の河口域及び海岸域の線虫相とムツゴロウ生息地との関連" 浅海干潟総合実験施設研究紀要. 6. 19-26 (1992)