1990 Fiscal Year Annual Research Report
地球規模汚染の予測手法の確立ー天然放射能の大気拡散シミュレ-ションによってー
Project/Area Number |
02302088
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池辺 幸正 名古屋大学, 工学部, 教授 (50023073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 内蔵進 名古屋大学, 水圏科学研究所, 助手 (90191981)
茅野 政道 日本原子力研究所, 環境安全研究部, 研究員
上野 馨 金沢大学, 低レベル放射能実験施設, 教授 (00193821)
下 道国 名古屋大学, 工学部, 助手 (90023209)
飯田 孝夫 名古屋大学, 工学部, 助手 (50089843)
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Keywords | 大気拡散 / ラドン / トリチウム / シミュレ-ション / トリチウム電解濃縮 / 広域拡散 / 地球環境問題 / 水蒸気輸送 |
Research Abstract |
パフの概念を導入した大気拡散シミュレ-ションモデルを開発した。このパフは、ラドンの気塊を表現したもので、プログラム上では立方体で表されている。シミュレ-ションの移流・拡散の流れは、パフの移動(移流)・膨張(拡散)によって計算される。移流計算では、差分モデルに表されるような疑似拡散をなくすために二次モ-メントの手法を用いており、また拡散係数の鉛直分布に対応した拡散計算ができるようにDiehlらの手法を取り入れている。シミュレ-ション時の入力デ-タには、複雑地形を考慮した風速場計算結果を使用している。拡散係数の鉛直分布は昼間と夜間異なる分布を設定した。このコ-ドの妥当性をみるため、解析解及び差分解との一致を確認した。このコ-ドの検証を行うためのラドンの観測は、名古屋大学、金沢大学及び福井大学で実施した。本研究費をもって製作した静電捕集方式ラドン濃度連続測定装置は、約一ヶ月の間名古屋大学現有設備とよく一致するデ-タを示すことを確認した後、11月から金沢大学に設置した。約10日間にわたるラドンの広域大気拡散のシミュレ-ション(4000km×4000km)の計算結果は、名古屋における観測値の変動傾向をかなりよく反映した。今後モデルの改良及び観測との比較の積み重ねが必要である。このコ-ドを基本としたトリチウム大気圏動態シミュレ-ション検証のための大気中及び水文圏のトリチウム測定に備えるため、トリチウム電解濃縮装置の設計製作を行っている。この装置は間欠注水方式の新しい濃縮法を用いるものであり、予備実験によって装置の作動特性やβ値のデ-タとしてほぼ満足すべき結果が得られた。トリチウム動態シミュレ-ションに必要な水循環情報については、主にル-チンの高層気象デ-タを用い、気象衛星「ひまわり」の雲量デ-タ等を用いて、日本付近への水の輸送と関連した総観気象解析を行った。
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