1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02302091
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
小池 一之 駒沢大学, 文学部, 教授 (20052483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小元 久仁夫 日本大学, 文理学部, 助教授 (10004392)
大村 明雄 金沢大学, 理学部, 助教授 (70019488)
海津 正倫 名古屋大学, 文学部, 助教授 (50127883)
米倉 伸之 東京大学, 理学部, 教授 (30011563)
太田 陽子 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (80017714)
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Keywords | 最終間氷期 / 完新世 / ハイドロ・アイソスタシ- / 地形発達史 / 海浜環境 / ウラン系列年代測定 / ESR年代測定 / _<14>C年代測定 |
Research Abstract |
本研究は、氷河性海面変動の1サイクルにあたる最終間氷期から現在までの期間に見られる、日本列島における海水準上昇に伴う海岸環境の将来予測のための基礎的資料を得ることを目的とするものである。 本年度は、分担者各人はそれぞれ現場調査と、現地調査によって得られた試料の整理・分析、および、研究成果をまとめる準備を中心に研究を進めた。主な調査地域は、北から、オホ-ツク沿岸〜釧路(松島義章)、北海道日本海海岸(海津正倫)、下北半島海岸(福本 紘・中西弘樹)、常磐・九十九里浜海岸(砂村継夫)、渥美半島(宮内崇裕)、山陰・山陽海岸(貞方)、奄美大島・徳之島・久米島(河名俊男)、与那国島(太田陽子・大村明雄)などである。 これらの現地調査と関係資料の収集・分析をとうして、更新世最終間氷期から現在にかけての海水準変動とそれに伴う海成段丘の形成過程がより詳細に判ってきた。そして、最終間氷期最盛期の海岸環境復原図作製の目処がたった。また、後氷期の海面上昇とハイドロ・アイソスタシ-トとの関係もかなり明瞭になってきた。 また、年代測定研究班は、それぞれの年代測定法の精度向上、測定年代幅の拡大に務めた。これらの結果、従来年代決定にやや困難のあった3〜8万年前の海岸環境の変遷を解明するための手がかりを得た (_<14>C年代測定の幅が6.5万年位まで広がったことや、単体珊瑚化石によるウラン系列年代測定が可能となったため)。このため、氷河性海面変化のほぼ1サイクル間の海岸環境の変遷を、更新世〜完新世前半の期間については、ほぼ1万年刻みで、完新世後半については、千〜百年刻みで復元できる可能性がでてきた。 設備に関しては、前年度設置されたマルチアノ-ト・コインシデンス・カウンタ-(日本大学年代測定室)からはすでに40点ほどの _<14>C年代が測定された。本年度設置された外部記憶装置(金沢大学、大村明雄研究室)では、ウラン系列年代測定のデ-タベ-スの作成が進み、ウラン系列年代値の信頼性の検証が進れらている。
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Research Products
(26 results)
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[Publications] 小池 一之: "海岸侵食にともなう海岸線の人工化と養浜問題" 人工改変と地質環境(その3)ー環境回復の試みー(日本地質学会関東支部). 19-27 (1992)
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[Publications] Ota,Y.: "Coseismic uplift in coastal zones of the western Pacific rim and its implication for coastal evolution" Zeit.Geomorph.,N.F. Suppl.Bd.Bd.81. 163-179 (1991)
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[Publications] 太田 陽子・大村 明雄: "Late Quaternary shorelines in the Japanese lslands" 第四紀研究. 30. 175-186 (1991)
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[Publications] Ota,Y.and Kaizuka,S.: "Tectonic Geomorphology at acitve plate boundariesーExamples from Pacific rim" Zeit.Geomorph.,N.F. Suppl.Bd.Bd.82. 119-146 (1991)
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[Publications] Ota,Y.and et al.: "Coseismic uplift of Holocene marine terraces in the Pakarae river area,eastern North lsland,New Zealand" Quatenary Research. 35. 331-346 (1991)
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[Publications] 太田 陽子他: "南・北大東島のサンゴ礁段丘からみた第四紀後期の地殼変動" 地学雑誌. 100. 317-336 (1991)
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[Publications] Ota,Y.and et al.: "Uplift rate comparison based on coral reef terraces on different plates,southwestern Japan." Bull.,INQUA Neotectonic Commission. No.14. 13-15 (1991)
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[Publications] 米倉 伸之: "第四紀気候変動とそのメカニズム" 地質ニュ-ス. 445号. 14-24 (1991)
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[Publications] Nakada,M.,Yonekura,N.and Lambeck,K.: "Late Pleistocene and Holocene seaーlevel changes in Japan:implications for tectonic histories and mantle rheolgy" Palaeogeogr.,Palaeoclimat.and Palaeoecol.85. 107-122 (1991)
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[Publications] 宮内 崇裕・山下 佐祐美: "飛島の海岸段丘" 地学雑誌. 100. (1991)
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[Publications] 松島 義章・山代 淳一: "北海道釧路湿原における海成沖積層産貝化石の _<14>C年代" 神奈川県立博物館研究報告(自然科学). 22号. (1992)
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[Publications] 西田 茂・松島 義章・川上 淳: "根室市ヒリカヲタ遺跡・ト-サムポロ遺跡採集の資料" 根室市博物館開設準備室紀要. 6号. (1992)
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[Publications] 海津 正倫: "Holocene seaーlevel changes and coastal evolutio in Japan" 第四紀研究. 30. 187-196 (1991)
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[Publications] 海津 正倫: "木曽川デルタにおける沖積層の堆積過程" 堆積学研究. 36. (1992)
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[Publications] 海津 正倫: "沖積層上部砂層の形成とその地域的特色" 名古屋大学文学部研究論集. 113. (1992)
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[Publications] Sunamura,T.: "The evolution of shore platforms:a laboratory approach to the unsolves problem" Journal of Geology. 99. 761-766 (1991)
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[Publications] 福本 紘: "出雲地方における海浜地形の地域的特性" 梅花短期大学研究紀要. 39号. 139-147 (1991)
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[Publications] 貞方 昇: "弓ヶ浜半島「外浜」浜堤群の形成における鉄穴流しの影響" 地理学評論. 64A. 759-778 (1991)
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[Publications] 小元 久仁夫: "放射性炭素年代測定の現状と展望" 地理誌叢(日本大学). 33号. 1-21 (1991)
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[Publications] 大村 明雄 他: "日本海海底堆積物中のウランおよびトリウム同位体組成:南部の3ピストンコア堆積物間の比較" 金沢大学日本海研究所報告. 22. 1-16 (1990)
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[Publications] 大村 明雄 他: "南・北大東島産後期更新世サンゴ化石の ^<230>Th/ ^<234>U年代" 地学雑誌. 100. 337-350 (1991)
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[Publications] 大村 明雄 他: "三浦半島津久井異層産単体サンゴの ^<230>Th/ ^<234>U年代" 第四紀研究. 30. 291-295 (1991)
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[Publications] Oba,T.,Omura,A.,and et al.: "Paleoenvironmental changes in the Japan Sea during last 85.000yaers." Paleoceanography. 6. 499-518 (1991)
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[Publications] 木庭 元晴 他: "北大東島産サンゴ化石のESR年代とその検討" 地学雑誌. 100. 351-366 (1991)
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[Publications] 河名 俊男 他: "南・北大東島の後期更新世サンゴ化石の非破壊γ線による ^<226>Ra/ ^<238>U年代" 地学雑誌. 100. 367-377 (1991)
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[Publications] 木庭 元晴: "日本の水と緑" 玄文社(京都), 200 (1992)