1991 Fiscal Year Annual Research Report

ホミノイド(ヒト上科)における二足歩行能の起原と進化

Research Project

Project/Area Number	02304013
Research Institution	Osaka University
Principal Investigator	俣野彰三大阪大学, 人間科学部, 教授 (30028724)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	木村賛京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (20161565) 久保武大阪大学, 医学部, 助教授 (30107031) 山崎信寿慶応大学, 理工学部, 助教授 (70101996) 石田英實京都大学, 理学部, 教授 (60027480) 遠藤萬理東京大学, 理学部, 教授 (20011504)
Keywords	ホミノイド / 2足歩行 / 進化 / 形態 / 生機構 / シミュレ-ション / 化石
Research Abstract	昨年度の成果を踏まえて、限られた時間的制約の中ではあるが各研究者はそれぞれ持味を発揮して独自の成果をあげることが出来た。化学の検索では石田が、海外学術調査(別途研究費)にもとずく多数のケニアピテクスの資料の中から,尺骨近位部を選び、その形態時性を測定して垂直木登りに適応している可能性を指摘し、あらためて2足歩行の前適応としての木登り運動に着目した。馬場はアウストロラロピテクスの骨盤形態を検討し、ヒトノ直立2足歩行への至る道で、身体各部の形態が一様に変化したのでなく、下半身の下の方から順に適応してきたと仮説を提唱した。骨格筋では直立2足姿勢の維持や歩行にかかすことの出来る脊柱起立筋の適応について、ヒトとチンパンジ-の詳細な比較検討を熊倉が行った。松村はラットを強制的に後肢2足起立させる実験的負荷によって、大腰2頭筋の筋線進が肥大することを見出だした。エネルギ-消費の面からは、前年の現代人の解析に続いて山崎はアウストラロピテクス・アフェレニンスの骨格に注目し、2足歩行でのエネルギ-消費の最小化は骨盤を前傾させ胸廊をそらすことであることを計算し、この結果が、化石形態から得られている従来の推測とむじゅんしないという興味ある結論を得た。木村はモンキ-とチンパンジ-を歩行比較させて、チンパンジ-の2足歩行の方がエネルギ-消費が少なく、より自然的であると述べている。これらの姿勢推持や2足歩行を制御する神経系の適応と進化については、ヒト、ゴリラ、チンパンジ-、テナガザルの小脳系の本自質の系統発達を比較した俣野が、姿勢維持に関しては樹上性の方が遥かに不安定で因難であることを小脳前庭系の比較で示した。またヒトは髄意運動能にかかわる小脳外側核、下オリ-ブ主核、橋底部の発達が極めて良く、中位核の発達と共に2足歩行への移行が神経系に与えた適応の特徴を論じている。現代人の姿勢安定度の解析は遠藤が担当した。

Research Products

(7 results)

All Other

All Publications (7 results)

[Publications] 松村秋芳: "Effects of erect bipedal standing on the crossーsectional geomery of the rat femur." J.Anthrop.Soc.Nippon. 98. 451-470 (1990)
[Publications] 遠藤萬里ほか: "ヒトの直立2足歩行における足底は、分布に関する実験的研究" バイオメカニズム学会シンポジウム. 12. 371-382 (1991)
[Publications] 山崎信寿ほか: "歩調、歩幅の生体力学的決定基準" バイオメカニズム学会シンポジウム. 12. 359-370 (1991)
[Publications] 石田英実ほか: "Middle and late miocene hominoids in east Africa." Topics in Primatologu(I)Eds.Nishida,T.et al.単行. (1992)
[Publications] 木村賛: "Voluntary bipedal walking of infant chimpanzees." Gravity,Posture and Locomotion in Primates.Eds.Jouffroy,F.K.et al.単行. 237-251 (1990)
[Publications] 俣野彰三: "A comparative neuroprimatological study on the inferior olivary nucli." J.Anthrop.Soc.Nippon. 100. (1992)
[Publications] 俣野彰三,石田英實ほか編: "Topics in Primatology(III)" 東京大学出版会, 400 (1992)

1991 Fiscal Year Annual Research Report

ホミノイド(ヒト上科)における二足歩行能の起原と進化

Principal Investigator

俣野 彰三 大阪大学, 人間科学部, 教授 (30028724)

Research Products

[Publications] 松村 秋芳: "Effects of erect bipedal standing on the crossーsectional geomery of the rat femur." J.Anthrop.Soc.Nippon. 98. 451-470 (1990)

[Publications] 遠藤 萬里ほか: "ヒトの直立2足歩行における足底は、分布に関する実験的研究" バイオメカニズム学会 シンポジウム. 12. 371-382 (1991)

[Publications] 山崎 信寿ほか: "歩調、歩幅の生体力学的決定基準" バイオメカニズム学会シンポジウム. 12. 359-370 (1991)

[Publications] 石田 英実ほか: "Middle and late miocene hominoids in east Africa." Topics in Primatologu(I)Eds.Nishida,T.et al.単行. (1992)

[Publications] 木村 賛: "Voluntary bipedal walking of infant chimpanzees." Gravity,Posture and Locomotion in Primates.Eds.Jouffroy,F.K.et al.単行. 237-251 (1990)

[Publications] 俣野 彰三: "A comparative neuroprimatological study on the inferior olivary nucli." J.Anthrop.Soc.Nippon. 100. (1992)

[Publications] 俣野 彰三,石田 英實ほか編: "Topics in Primatology(III)" 東京大学出版会, 400 (1992)

俣野彰三大阪大学, 人間科学部, 教授 (30028724)

[Publications] 松村秋芳: "Effects of erect bipedal standing on the crossーsectional geomery of the rat femur." J.Anthrop.Soc.Nippon. 98. 451-470 (1990)

[Publications] 遠藤萬里ほか: "ヒトの直立2足歩行における足底は、分布に関する実験的研究" バイオメカニズム学会シンポジウム. 12. 371-382 (1991)

[Publications] 山崎信寿ほか: "歩調、歩幅の生体力学的決定基準" バイオメカニズム学会シンポジウム. 12. 359-370 (1991)

[Publications] 石田英実ほか: "Middle and late miocene hominoids in east Africa." Topics in Primatologu(I)Eds.Nishida,T.et al.単行. (1992)

[Publications] 木村賛: "Voluntary bipedal walking of infant chimpanzees." Gravity,Posture and Locomotion in Primates.Eds.Jouffroy,F.K.et al.単行. 237-251 (1990)

[Publications] 俣野彰三: "A comparative neuroprimatological study on the inferior olivary nucli." J.Anthrop.Soc.Nippon. 100. (1992)

[Publications] 俣野彰三,石田英實ほか編: "Topics in Primatology(III)" 東京大学出版会, 400 (1992)