1990 Fiscal Year Annual Research Report
「精神分裂病の予後・経過に与える、社会・心理的環境としての家族および支持的ネットワ-クの影響」
Project/Area Number |
02305008
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
岡上 和雄 日本社会事業大学, 教授 (40132873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽山 由美子 東京医科歯科大学, 医学部・保健衛生学科, 助教授 (10124405)
大島 巌 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 室長 (20194136)
北村 俊則 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 室長 (30146716)
伊藤 順一郎 千葉大学, 医学部・神経精神医学教室, 助手 (80168351)
柳橋 雅彦 千葉大学, 医学部・神経精神医学教室, 講師 (50114335)
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Keywords | 家族機能 / 家族測定 / 家族の感情表出 / 精神分裂病 / 再発予後 / 症状評価 / 評定者間信頼性 |
Research Abstract |
精神障害者の地域ケアを推進させる上で重要と考えられる、「受け皿」としての家族および支持的ネットワ-ク(家族等)の役割や機能を、病気の予後や経過との関係で明らかにすることを目的にして、昨年度に引き続き、家族の感情表出(EE)等、「受け皿」としての家族等の機能評価の信頼性および妥当性の検討を行った。これらの尺度が概ね適切であることが判明したため、今年度より家族機能と再発予後との関連性を明らかにするための追跡調査を開始した。 尺度評価のための検討会を毎月実施し35例について検討し評価の信頼性を高めるための討議を行った。一方、追跡調査は3精神科医療施設で行い、入院時に行う初回調査は87例(都市部急性期患者46例、都市部慢性期11例、農村部30例)に実施、退院時調査(追跡開始時)は42例、9カ月後の追跡調査は1例に実施した。本調査研究の中心課題である追跡調査は実施事例数が少ないため、以下では、家族測定尺度の信頼性・妥当性に関する検討結果を述べる。 1.検討会で取り上げた35例に対する4名の評価者の信頼性に関して、EEの5下位尺度のANOVA ICCは、.73から.91という高い信頼性が確保された。評価者2名ずつの相関係数については、「暖かさ」の1ペアと「肯定的言動」の1ペアに極めて低い相関が認められたが、それぞれのペアの平均については、各下位尺度ともr=.54〜.78と比較的良好であった。しかし、EEの総合評価に関してはCohenのκが.37〜.57とあまり高くなく、今後カットオフ・ポイント付近での厳密な評価ができるよう訓練する必要がある。 2.EE以外の家族測定尺度とEE下位尺度との関連は、概ね類似の概念を測定する項目との相関が高く、双方の尺度の妥当性を裏付けていた。
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