1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02306002
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Research Institution | Tokyo University of Fisheries |
Principal Investigator |
有賀 祐勝 東京水産大学, 水産学部, 教授 (10017022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 康雄 東京農業大学, 農学部, 教授 (40011796)
山口 征矢 埼玉大学, 教養部, 教授 (70114220)
大槻 晃 東京水産大学, 水産学部, 教授 (30101041)
福嶋 司 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30111420)
小倉 紀雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015127)
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Keywords | 低湿地 / 河口干潟 / 霞ケ浦 / 無機窒素 / アシ帯 / 硝酸還元 / メタン生成 / 汽水域 |
Research Abstract |
(1)多摩川河口域干潟において潮汐に伴う無機態窒素の挙動の調査について解析した。間隙水中の硝酸イオン濃度は干出直後から4時間の間に183から70.3μmol/lに低下した。これは主として硝酸還元・脱窒によると考えられ、その速度は178μmol/m2/hとなった。一方、冠水時には間隙中の硝酸イオン濃度は短時間で上昇し、直上水中の濃度に近づき、再び硝酸還元・脱窒に好適な環境に移行した。したがって、河口域干潟は上流から供給される硝酸イオンの一部を脱窒により水中から除去する役割を果していると考えられる。 (2)多摩川中流域の調査区で昨年と同様に植物群落の分布に関する詳細な調査を行った。本年度は特に水路中など湿性立地に分布する群落に注目して調査した。また、これまで充分な資料の蓄積がなかった現在の土地利用とその変遷などの人的環境及び地形と土壌などの無機的環境についても資料を集めて解析し、植物群落との関係について検討した。 (3)霞ケ浦湖岸ガマ帯に模擬水路を設置し、岸に沿った湖水の流れをなくし、沖側から岸に向かう風による流れを利用する実験を試みた。午前10時から1時間間隔で5時間にわたり模擬水路水口及び出口で水質変動を調査した。その結果、湖水が平均2-3cm/sの流速でガマ帯を通過すると、水温は0.2-0.4℃低下し、溶存酸素は0.7-1.5mg/l減少するなど水質の時間的変動があることが明らかになった。 また、アシ帯11地点から採取した付着藻試料の珪藻組成を解析した。全出現種数は35種であり、種組成は各地点とも比較的類似していた。出現種数と出現頻度をもとにクラスター分析を行った結果、5つのサブグループの存在が認められたが、栄養塩類などの水質要因との相関は必ずしも明瞭でなかった。湖岸におけるアシ帯の残存状況について昨年同様に調査した。 (4)低湿地生態系の微生物活性について、河川水から有機物が供給され河口から海水が供給されて淡水と混合する汽水域を対象に、温室効果に関連して硫酸還元菌とメタン生成菌の相互作用を検討した。メタン生成量は、硫酸イオン含量と対応し、硫酸イオンが多いと硫酸還元が盛んとなりメタン生成量が減少する逆比例関係にあることを明らかにした。
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[Publications] H.Takada and N.ogura: "Removal of linear alkylbenzenesulfonates (LAS) in the Tamagawa estuary" Marine Cheistry. 37. 257-273 (1992)
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[Publications] H.Takada,R.Ishiwatari and N.Ogura: "Distribution of linear alkylbenzenes (LABs) and linear alkylbenzenesulfonates (LAS) in Tokyo Bay sedimenst" Estuarine,Coastal and Shelf Science. 35. 141-156 (1992)
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[Publications] H.Takada,N.Ogura and R.Ishiwatari: "Seasonal variations and modes riverine inputs of organic pollutanst to the coastal zone I." Environmental Science and Technlogy. 26. 2517-2593 (1992)
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[Publications] A.Otski,R.H.Goma,M.Aizaki and Y.Nojiri: "Seasonal and spatial variations of dissolved nitrogenous concentrations in hypertrophic shallow lake,with special reference to dissolved organic nitrogen" Verh.Internat.Verein.theor.Angew.Limnol.25. (1993)
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[Publications] S.Hashimoto,H.Y.Sun,T.Nakamura,Y.Nojiri and A.Otsuki: "Seasonal variations in dissolved nitrous oxide concentrations in eutrophic shallow lake without anoxic layer" Geochemical Journal. 27. (1993)
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[Publications] 高井 康雄: "陸域生態系におけるメタン発酵と地域環境問題" 東京農大農学集報. 37. 89-105 (1992)