1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02404058
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
竹内 一夫 杏林大学, 医学部, 教授 (80086462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐和 弘基 杏林大学, 医学部, 講師 (80135912)
前田 達浩 杏林大学, 医学部, 講師 (50210993)
永松 信哉 杏林大学, 医学部, 助教授 (80231489)
小松 明男 杏林大学, 医学部, 助教授 (20225569)
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Keywords | 成長解析 / 脳腫瘍 / 癌抑制遺伝子 / 糖輸送担体 / Histone / ヌクレオリン / 細胞-細胞接着蛋白質 |
Research Abstract |
I.BudRによる標識を行った脳腫瘍は、すでに50例を越えるBudR、IudRによる二重標識によるS期時間の測定、理論的倍化時間、growth fractionや細胞世代時間について次のことが判明した。悪性グリオーマでは、Ts:平均9時間、Tp:平均70時間、転移性脳腫瘍では、Ts:平均14時間、Tp平均72時間と計算された。9例のgliomaの解析から、細胞世代時間は、48時間以内と推論された。 II.癌抑制遺伝子P-53のgliomaでの欠落を、PCR-RFLP法によって解析した。約100人の白血球DNAの検討から、exon4部に、ヘテロ型を示す例が40%にみられた。この方法により、全脳腫瘍の48%に、P-53遺伝子の欠落を証明した。 III.糖輸送担体の発現を培養細胞株及び、ヒトgliomaで検索し、次の結果を得た。1)Glut-1については、低分化gliomaでは、その血管における染色体が低下することが判明し、低分化gliomaでの脳血液関門の破綻との関連性が考えられた。2)インスリン依存性GlutであるGlut-4は、20%の例で発現が認められる。ヒトglioma細胞株U251MG、ラットC6glioma細胞にもGlut-4の発現があり、そのmRNAは、4.8Kbで、正常細胞の2.4Kbと異なっている。最近、ラットGlut-3のcDNAのクローニングに成功し、加えてC末端特異的抗体を作成した。ラットGlut-3は、マウスGlut-3と高いホモロジーを持ち、C末抗体は、神経細胞特異的に反応することが示された。 IV.Histone cRNAプローベによる増殖細胞同定法については、方法論の確立をすすめている。uncleolinに対する抗体は、プロテアーゼ処理により従来より鮮明に染色しうることが判明し、AgNOR、BrdU染色等の比較検討をすすめた。 V.K3蛋白質、C-CAM共に、脳血液関門形成に重要な役割を果たすことがわかった。K3は、ラット脳血管内皮のtight junctionに局在し、C-CAMは、胎生期中枢神経の血管形成の上で、内皮と周皮細胞の接着を制御していることがわかった。加えて、これらの細胞接着蛋白質の腫瘍浸潤における役割を分子生物学的手法を用いて検討した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 前田 達浩,星野 孝夫: "Bromodeoxyuridine,idiodeoxyuridine二重標識法による脳腫瘍の成長解析" 脳と神経. 9. 821-825 (1992)
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[Publications] Satoyuki Ito,Takao Hoshino Michael D Prados: "Cell kinetics of medulloblastomas" Cancer. 70. 671-678 (1992)
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[Publications] Takao Hoshino: "Cell kinetics of glial tumor" Rev.Neurol(Paris). 148. 396-401 (1992)
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[Publications] 鎌田 孝一,佐和 弘基,佐藤 秀子,星野 孝夫: "In situ hybridization法を用いた増殖細胞の同定法" 医学のあゆみ. 161. 951-952 (1992)
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[Publications] 永松 信哉,武島 英人,中道 洋,板垣 英二,脇坂 晟,村井 章一郎,佐和 弘基,星野 孝夫: "マウスβTC3細胞における糖輸送担体遺伝子(Glut1,3)およびマウスGlut3の脳特異的発現" 分子糖尿病学. 45-51 (1992)
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[Publications] 飯島 淳子,佐和 弘基,椎名 義雄,星野 孝夫: "PCRを用いたP53遺伝子のcodon72部位におけるポリモルフィズムの検索と脳腫瘍への応用" 脳と神経. 45. 43-47 (1993)
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[Publications] 佐和 弘基,星野 孝夫: "脳腫瘍の免疫と分子生物学(分担執筆pp85-93)" 金芳堂, 344 (1992)