1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02404058
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
竹内 一夫 杏林大学, 医学部, 教授 (80086462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐和 弘基 杏林大学, 医学部, 助手 (80135912)
渡辺 卓 杏林大学, 医学部, 講師 (00191768)
松田 宗男 杏林大学, 医学部, 助教授 (30190482)
永松 信哉 杏林大学, 医学部, 助教授 (80231489)
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Keywords | 成長解析 / 脳腫瘍 / 糖輸送担体 / ヌクレオリン / MIB-1 |
Research Abstract |
1.成長解析学的検討 BudR及びIudR二重標識法によってS期時間の推定、理論的倍化時間、growth,fractionや細胞世代時間についての情報が得られた。これらの情報を基に患者の年齢、組織診断、BudR標識率を統計的、総合的に解析した結果、膠芽腫、悪性星細胞腫群と星細胞腫の生物学的な増殖様式に基本的な違いのあることが判明した。BudR標識法に加えて新たな腫瘍増殖能推定法が考察され臨床応用がすすめられてきた。MIB-1モノクローナル抗体は、増殖相に存在するKi-67抗原に反応する抗体であるが、本抗体を用いて89例の脳腫瘍についてBudR標識率との相関性が検討された。その結果MIB-1陽性率とBudR標識率との間には回帰係数=0.84で相関関係が認められ、現在継続して解析が続けられている。ヌクレオリン抗体については髄膜腫について解析が始められ、27例の髄膜腫の検討から悪性髄膜腫では核内ヌクレオリン陽性粒子数の増加が認められ、この方法は腫瘍の生物学的悪性度を判定する一助となると思われる。 2.脳腫瘍の表現型に関する検討 前年及び前々年の研究から脳腫瘍の増殖、生物学的悪性度と糖輸送担体の発現との関連性が考えられた。そこで、腫瘍の増殖能とグルコースの取り込み、グルコース消費との間の関連性を明らかにするために、C6ラットグリオーマ細胞からそれぞれ増殖能の異なる4つの細胞をクローン化し単離培養し検討した。グルコースの取り込みは、BudR標識率、成長曲線に一致し、増殖の早いクローンで、より多く取り込まれることが判明した。この系で、糖輸送担体の発現とヘキソカイネース、G6PDH等の解糖系酵素のいずれがグルコースの取り込みに関与するか明らかにするために、Northern blot解析、Western blot解析及びヘキソカイネース活性、G6PHD活性を計測した。糖輸送担体の発現が増殖能と相関していることが判明し、このことは、糖輸送担体へのグルコースの結合を阻害する低濃度のサイトカラシンB投与により増殖抑制が観察されることからも確認された。これらの結果は、脳腫瘍における糖輸送担体の発現量は、その増殖能と密接に関与していることを示唆する所見であり、脳腫瘍細胞表面の糖輸送担体へのグルコース結合抑制による新たな腫瘍治療法開発の手がかりを与えるものと考えられた。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Shibuya M,Ito S,Miwa T,Davis RL,Wilson C,Hoshino T: "Proliferative potential of brain tumors-Analyses with Ki-67 and anti-DNA polymerasea monoclonal antibodies,bromodeoxyuridine labeling,and nucleolar organizer region" Cancer. 71. 199-206 (1993)
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[Publications] Nagamatsu S,Sawa H,Kamada K,Nakamichi.Y,Hoshino T: "Neuron-specific glucose transporter(NSGT):CNS distribution of Glut-3 rat glucose transporter(RGT3)in rat central neurons." FEBS LETT. 334. 289-295 (1993)
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[Publications] Nagamatsu S,Sawa H,Wakizaka A,Hoshino T: "Expression of facilitative glucose transporter isotorms in human brain turmor." J Neurochem. 61. 2048-2053 (1993)
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[Publications] 飯島淳子、佐和弘基、椎名泰雄、星野孝夫: "PCRを用いたP-53遺伝子のCodon72部位におけるポリモルフィズムの検索と脳腫瘍への応用" 脳と神経. 45(1). 43-47 (1993)
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[Publications] Herold KC,Nagamatsu S,Buse JB,Kulsakdinun P,Steiner DF: "Inhibition of glucose-stimulated insulin release from betaTC3 cells and rodent islets by an analog of FK506." Transplantation. 55. 186-192 (1993)
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[Publications] Nagamatsu S,Sawa H: "Neuron specific glucose transporter(NSGT):Cloning and cellular localization in rat brain." Diabetes.42(Suppl 1). 486 (1993)
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[Publications] 永松信哉: "マスウbetaTC3細胞のインスリン生合成調節機構における糖輸送担体、hexokinase、及びglucokinaseの役割。" 糖尿病記録号. (in press). (1993)
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[Publications] 永松信哉、中道洋子、佐和弘基: "脳タイプのグルコーストランスポーター。" 生体の科学. (1994)
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[Publications] Nagamatsu S,Sawa H,Inoue N,Nakamichi Y,Takeshima H,Hoshino T: "Gene expression of GLUT3 glucose transporter regulated by glucose in vivo in mouse brain and in vitro in neuronal cell cultures from rat embryo." Biochem J. (in press). (1994)
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[Publications] Sawa H,Kamada K,Sato H,Kondo A,Saito I,Edlund M,Obrink B: "C-CAM expression in the developing rat central nervous system." Dev.Brain Res. (in press). (1994)