Research Abstract |
〔目的〕 本研究は,本年度の科学研究費補助金により購入した,X線骨密度測定装置(Hologic,QDR1000)を用い,骨粗鬆症予防を目的に,骨密度に対する食生活および身体活動の効果を検討した。 〔対象〕 文京区と新潟市の保健所において,栄養教室に参加した40歳以上60歳未満の健常女性130名(東京66名,新潟64名)である。全例において,直接聞きとりによる調査を行ない,3日間食事調査,食品群別摂取頻度,年間当りの身体活動累積時間(家事,職業,歩行,運動競技),万歩計による1日当りの歩数を調査した。また,対象者全員についてDEXAによる腰椎骨塩定量(L_1ーL_4)を行ない,比較検討した。 〔結果〕 腰椎骨密度は東京40〜49歳,1.001±0.156g/cm^2,新潟0.972±0.145g/cm^2,東京50〜59歳0.876±0.117g/cm^2,新潟0.896±0.151g/cm^2であった。両都市とも健常日本女性約1,000人(浜松医大,川崎医大)の平均骨密度と比較するとかなり高い傾向を示した。食事調査では,カルシウム摂取量が東京680mg,新潟735mgと高く,蛋白質,ビタミン類のいずれも平均所要量より高かった。また食品群別摂取頻度では,食品摂取傾向に東京と新潟で違いがあることが示された。一方,身体活動においても両都市とも活動量が高い人が多かった。また平均歩数では,新潟よりも東京の方が多く歩いている傾向にあった。 閉経による骨密度の低下は,充分な栄養摂取と高い身体活動によってかなり抑制されることが示唆された。
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